No.002 審査員の質と成功率上昇の鍵

 こんばんは。前回(No.001)にそこそこ反響が有ったので何となく続けてみます。


 ただ、このコラムの本質はあくまでも「自分が感じていることをつらつらと書く」という類の物です。なので、たまたま二連続で似たような話が続きますが、そのうち「作品をより良くする為には」という観点の話も書くと思います。具体的には作品のネタバレ無しでは難しい「キャラクターメイキング」や「ストーリー構築」の話でしょうか。


 さて、それはともかく今回の話。今回は「審査員の質と成功率上昇の鍵」です。別に喧嘩を売る訳ではありませんが、褒めてどうこうする、という類の話ではありません。


 カクヨムを利用している人で「ライトノベル」という媒体を全く知らない、という人は恐らく殆ど居ないでしょう。むしろ、世間一般の認知度よりは、遥かに良く知っている人が多いはずです。


 そのライトノベルですが、全体の5分の1が一巻で打ち切りだそうです。ソースは有りません。探せばあると思うので興味のある方は探してみてください。


 5分の1。この数字を見てどう思ったでしょうか。と、言うより、どう思うべきでしょうか。業界は厳しい?いいえ。「低すぎるだろう」と怒らなければならないはずです。


 まず「5分の1」という数字から崩していきましょうか。この数字は割合にすれば丁度二割です。何をもって成功とするか、には色々な定義の仕方があるとは思いますが、取り敢えず「二巻を発売出来たライトノベル」を成功という事にしましょう。もしそうだとすれば、この業界の成功率は二割という事になります。


 やや話がそれますが、自分は野球が好きです。この野球、特に打者は「三割打てれば一流」とされるスポーツです。要するに「10回中3回成功すれば一流」という事。勿論簡単な事ではありませんが、これだってかなり低い数字です。


 では、その野球で二割となるとどうでしょうか?結論から言いますと「打撃だけでは間違いなく食べていけないライン」です。二割しか打てないバッターが一軍で食べて行こうとする場合、他に何らかの「付加価値」が必要になってきます。例えば「内野、外野全てのポジションをそつなく守れる」「足が凄く早くて、代走で盗塁を決められる」「守備に強い信頼感がある捕手である」等々。概ね守備に関する付加価値であることが多いですが、もし守備でアドバンテージが無く、なおかつ二割の打率で使われるという場合。その付加価値は「若い」か「ヒットのほぼ全てが長打(極端に言えばホームラン)」のどちらかでしょう。


 話を元に戻しましょう。何が言いたいのかといいますと、「二割しか成功出来ない人間がプロを名乗るのはおかしい」という事です。成功率二割というのは、三割打てれば一流、どんなリーグでも四割打てれば間違いなく凄いと言われるプロ野球ですら付加価値が無ければ一軍で使われないレベルです。付加価値となれば、守備関連は対応する物が有りません。若いからで許されていい話ではない。そうなってくると最後の「ヒットのほぼ全てが長打」、つまり「二巻以降を発売したほぼ全てのタイトルがロングセラー」なら許されるでしょう。三振か、ホームランか。そんな審査員。それはそれで必要なのかもしれません。


 しかし、現実はどうでしょう。恐らく「二巻以降を発売した作品」の内ロングセラーといって良い作品は良くて半分ではないでしょうか。これでは「付加価値」としては到底認められるものではありません。


 では、何が駄目なのか。大きく分けてその問題点は二つ。


 一つは「見出す段階で間違っている」という可能性。恐らく、こっちだけでも大分改善すると思いますが、どうも「小綺麗に纏まっているけど、そこから成長しない」という素材を好んでいるように見えます。要するに即戦力。裏を返せば、育てる気も、その力もないという事です。


 勿論、最終的に世に出す場合、ある程度の基準はクリアしているべきでしょう。しかし、審査の段階でそれを超えている必要はあるでしょうか。極端な話、多少漢字が間違っていようが、面白い物をかければそれでいいのです。漢字の間違いなんて後から幾らでも正せるのですから。


 しかし、現状の見出し方は、どの媒体でも共通して「マイナス点の少ない作品」を減点法で選び出している。これが成功率を下げる一つ目の要因。


 そして、二つ目は「そもそも乱立しすぎている」という事。これはアニメの業界にも言えるでしょう。はっきり言って数が多すぎる。


 良い物が多いのなら結構です。自分だって、良い物が一杯出ているのなら、何とか時間をと金銭面に都合をつけて、目を通したいと思うでしょう。


 ですが、残念ながら現在のライトノベル(というかオタク界隈全般かもしれません)は粗製乱造。売れる確率の少ない物を数だけ出している。そんな状態になってしまっています。


 これが完全に自分の首を絞めていて、悪い物ばかりに当たると「ラノベって糞だな」と言った認識が形成されます。自分もある二作品を見て以降、アニメに対する視聴意欲が未だに戻らないままですが、これと同じことが起こってしまっている、と言って良いと思います。


 だから、もっと「根本的な才能の有る人間」を採用し、育てて世に出し、「粗悪な物」はそもそも出さない。その姿勢が重要になっていくのではないかなぁと思います。例えば京アニが主催している新人賞。あれは該当者がなければはっきりと受賞者を出しません。その基準が正しいかは分かりませんが、あれくらいの姿勢が必要なんじゃないかなぁと。


 と、まあこんな感じで、ライトノベルに関してつらつらと書いてみました。あくまで無責任な物ですので、文句を付けられても困りますとは言っておきます。


 ただ、斜陽とされるライトノベル界隈。それが時代の流れとして必然と淘汰されているのならばともかく、自ら死の道を歩んでいるような気がするのはやっぱり気になるのでちょと、ね。


 次回は作品を作る方から何か書きたいなと思います。はい。

 

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