4.『溶けた練乳アイス』著:紅蛇 ジャンル: 現代ドラマ(No.013)
短編です。多分この批評を始めてから一番短いのでは無いでしょうか。
その為、当然ではありますが、キャラクターに名前がある訳でもなければ、起承転結らしいものがある訳でも無い。小説というよりは自由詩的なイメージを覚える作品です。
と、言う訳で、「物語の構築」をメインに(というかほぼそこだけ)見ている自分からすると、実の所コメント出来る部分が大変少ないです。短編でも起承転結があればまた違うのですが、それも無いので。
ただ、良いところを誉める事は出来ます。本作は夏の深夜を舞台としていますが、その空気感というか「ちょっと暑さの残った、でも昼みたいにガッツリと日が照っている訳では無い状態」みたいなものを良く表していると思います。恐らくですが文章のおかげだと思います。自分は、文章については「通じれば大丈夫」という主義なのですが、こういう文章が書けるっていうのはやっぱりいいですね。長い話、起承転結のハッキリした話になってくると、それよりも話の筋が気になってしまうという事は多いですが、これくらいだと文章による描写力が強く左右する様に思います。ちょっとした風景を切り取る。そんなイメージ。
その上で、ちょっとした郷愁や、共感を誘うような主人公の体感や経験。これらが合わさる事によって何とも言えない「あの日の夏」感が出ているなぁと思いました。何とも理不尽なおじさんも、理不尽すぎるだろうとは思うけど、でも「ああ、居るわ」という、そんな感じ。共感を誘う。
と、まあ本文に関してはそんな感じ。良く書けていると思います。だから、これをどうこうする事はないと思います。
その上で「本作が一番評価されている」という話でしたので、その辺りについて自分の思う所を少し。
まず、身も蓋もない話をしてしまうと、本作は「カクヨム甲子園」というコンテストに応募されている作品です。つまり、他の作品よりも注目度が高い所にあると言って良いと思います。勿論、作品そのものの出来が良くなければいけませんが、そこは一つ頭に入れてみるといいかもしれません。でも、これって良い事なんです。だって、「目に付けば評価されるよ」って事ですから。
後、他の作品をざっと見た(あらすじ等です)限りですが、個人的には「カクヨム受けしにくそうだな」というイメージを受けました。上でも「自由詩のようである」というコメントをしましたが、中には詩その物も有りました。ジャンル分けとして存在しているので、勿論ありなのでしょうが、自分が参与観察している限りだと読み書きともに人口の少ない分野の様な気がしています。
なので、後は「どうありたいか」という事次第になるとは思うのですが、個人的にはこれだけの描写力を持っているので、長編を書いてみるのはどうだろうか、と思いました。本作のイメージをそのまま引きずるのであれば夏のちょっとした青春話とか。なんなら短編(それこそカクヨム甲子園のロングストーリーくらい)でも良いです。きっと文章で引き込める物を書けるのではないかなぁと思います。余りこういう文章を書けない人間から見た感想ではありますが。
何だか纏まりのない文章で済みません。でも、描写力は大きな武器だと思います。後は「詩を書きたい」のか「詩を読まれたい」のか「自分の書いた文章が読まれたい」のか。細かな方針と意思を確認して、それに有った方向に進む事が大切だと思います。
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