因習に縛られた暗く深い里山に情念の光が怪しく灯る

恋をした女の体は光る、という風習を持つ里。かすみの身体は18になっても光らない。
その所以は、親の業か、生来の里の者とは異なる器量か。天涯孤独のかすみは、里の中の異質な存在として「かすのみ」扱いを受けることとなる。

だがしかし、かすみには秘めたる秘密があった。己が情念を怪しく燃やし、許されざる者との契りを交わす。


里山の風習や母親の業など、答えの提示されない謎を散りばめたまま、物語は淡々と、時に情熱的に語られていきます。
怪しくて、ものがなしく、そしてどこか芯の強い燃えるような雰囲気がとても好きです。

不思議で情念を感じる奇譚がお好きな方でしたら、ぜひ。

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