オタクの鏡!

 この作品を拝読して、初耳だったことが二つあります。ひとつは、「リュックサックからポスター」の意味です。「オタク」を自称する私ですが、メイドカフェが流行るはるか昔に成人してしまったため、恥ずかしながら、「ビームサーベル」は知っていても、タイトルの意味は見ただけでは分かりませんでした。いろんなオタク、いろんな楽しみ方があるものです。
 二つ目は、主人公のような「三次元オタク」が抱える辛さ。私は「二次元オタク」なので、安心してお気に入りのキャラクターを末永く愛でられますが、「三次元オタク」の場合は少し事情が違うのだと、改めて知りました。

 主人公が恋した相手は、三次元の猫耳メイド、つまり普通の女の子です。相手が生きているからこそ、拒絶されることもありますし、店を辞められたらもう会えなくなってしまいます。「控えめなオタク」の主人公にとって、しつこく付きまとうなんてもってのほか。彼の一途な優しさが泣かせます。
 しかし、「控えめ」な彼は、愛しい猫耳メイドの事情を知って、ついに立ちあがります。しかも、オタク的なやり方で正々堂々と! 「非オタとは違うのだよ、非オタとは!」と言わんばかりに潔い主人公に、心底惚れ惚れいたしました。

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