こんなに純粋な恋愛が「オタク」な彼に訪れたことに、感激。

 序盤はメイドカフェとその客のオタクという流れで、非現実的な空間に読者は放り出される。しかし、次にはもう現実が待っている。この展開の速さで、読者は多くの共感を得ることになる。オタクな主人公が、現実の「メイドさん」の学生生活に起こった「事件」を解決するために奮闘し、結果――――ぼろぼろになる。しかしこのことで、主人公と「メイドさん」の距離は一層縮まり、ほっこりしながらも、ドキドキなラストに導かれる。「メイドさん」は本当に良い子だな、と思いながらも、いつの間にか主人公を応援している自分がいました。おそらく、それだけ感情移入がしやすかったという事だと思います。
 「非日常」と「日常」が巧く書き分けられ、構成もしっかりしている。ただの「ラブコメ」ではなく、「現代ドラマ」という枠の中なのが納得できる一作でした。
 是非、ご一読ください。

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