これほどまでに純度の高い恋心があるでしょうか。

世の中にこんなにも長く純粋であり続ける恋心はあるでしょうか。

男性が親しみを込めて誰かに語りかけているような口調で始まるこの物語。
桜の時期に語られるそれは、独り言のように、手紙のように、思い出話のように、夫婦の会話のように、なんとも温かくて穏やかに流れていきます。

今の幸せがお互いの存在があったからこそだという感謝と共に語られるのは、時を経てもなお純粋な恋心。
いえ、時を経て多くの悲しみや苦労を乗り越えたからこそ、その思いの純度は高められ、宝石のように永遠に煌めく揺るぎなものに昇華したのだと思います。

途中から気付かされるタイトルの意味も、とても素敵で愛情の込められた呼び名であることに感動します。

読む時はぜひ、吸水性抜群のハンカチをご用意してくださいね。

その他のおすすめレビュー

侘助ヒマリさんの他のおすすめレビュー479