何度読んでも、胸が震える。人を深く愛することの喜びと悲しみ。

この物語が大好きです。
何度読んでも、胸が震えるように熱くなるのを感じます。
大切な人と共に過ごす時間が、どれほど得難く幸せなものか——人を心から愛することの喜びと悲しみを、青空のように広く、深く伝えてくる名作です。

恋をしたばかりの瑞々しい思い。愛する人への、誠実で細やかな想い。
時を経て、今目の前にある、輝くような幸せ。
けれど、隣で微笑んでくれるはずのきみは——。

物語の主人公「ぼく」と、その恋人のかすみさん。彼らが出会い、恋をして結ばれ、歩んだ人生。その間に起こった出来事と、「ぼく」の想い——宝物のようなその時間を、「ぼく」はゆっくりと優しく振り返ります。

その時間の中で、彼らはどれくらい幸せを味わっただろう。どれほど苦しく、引き裂かれるような思いを味わったことだろう——

そんな時間の流れも、「ぼく」の中の愛する人への思いを変えることはありませんでした。
まるで少年のように、まっすぐ、濁りのない温かな恋心は、あの日のまま——。

時間は流れ、自分の姿もどんどん変わっていく。けれど、決して変わることのない想いで愛する人を慕い、追い求め続けるその切なさに、涙がこぼれます。

こんな風に、暖かく、優しく、熱を失わないまま人を愛し続けたい——そう思わずにはいられない、穏やかな中にじっくりとした重みのある物語です。

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