最悪の運命をトレインして来たとしても、最後まで生きたいと思えるように。
魚がそうであったように、自分の人生も無駄なんかじゃないのかもしれない。誰かにそう言われるよりも、この作品を読んだ方が遙かにそれを信じることができました。
ありがちなゲームものかと思ったら、一瞬にして世界観に引き込まれました。洗練された文体にひねりの効いた世界と、短編ならではの良質な作品です。 しかも単なる男女の出会いではないというオチ。終盤の冒険には、涙なしには読み進められませんでした。 現実と虚構の狭間で見えた、痛みを伴うリアル。このラストは、人によって受け取り方が変わると思いますので、是非皆さまも一読されて感じてみてください。 私は、ラストはこれで良かったと思えました。
現実世界に生きづらさと息苦しさを感じ、仮想世界であるVRMMOへと毎日のように足を向かわせる主人公の海人。彼はそこである日、一人の少女と出会います。しかし出会い方は最悪。少女は初心者にも関わらず、高レベルのエリアに一人で挑み、助けを求めた挙げ句、たくさんの強力モンスターを引き連れ、海人を巻き込み死んでしまいます。最初はそんな少女に苛立ちしか覚えなかった海人ですが……意外な展開に、涙なくしては読めないラスト。彼女は今もきっと、優しさに包まれながら、温かい海の中を揺蕩っているんじゃないかな。心に響く素敵な物語です。是非読んでみてください。
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