物語の裏側から顔を出した、もう一人のボスの物語。

 はい、このお話は、ジャパリまんについての考察及び、それを製造しているラッキービーストのお話になります。
 このお話のすごいところは、そんな設定の掘り下げに留まらず、どこかドラマティックとも呼べるような物語として、もう一人のボス、ラッキービーストを描いているところでしょう。

 実に機械的に……もちろんロボットなので当然なのですが、それでも与えられた仕事の、ただのそれだけのために生きてきた一体のロボット。
 それが今回の主人公なのですが、彼が働いている工場は、物語上の出来事とリンクして、様々なことが起きます。
 野菜泥棒、フレンズ集結のためのジャパリまん増産、そして緊急事態宣言。

 これらはアニメを追っていた方なら丸分かりの出来事であり、それらを機械的に処理していく彼の行動は、実に冷静です。
 あっさりとした語り口調。いつものボスの口調。
 前編通して、彼の行動は機械的で、事務的でもあります。

 そして、このラッキービーストは最終的にアニメのあのシーンで登場した個体と言うことが判明しますが、その結末は一言では言い尽くせない、複雑な感情を私に与えてくれました。
 この作品は事実を記した、記録の物語です。彼が記録した機械の情報です。
 ですが、深みがある。
 謎の感動があり、涙ぐむ。それがどうしてなのかが上手く説明が出来ません。

 はい。そんなわけで、上手く紹介が出来ない作品となっております。
 私の技量不足もありますが、唯一つ言えること。
 これは設定を掘り下げた外伝作品と呼べる作品でもあり、同時にそれだけでは言い尽くせない、読み手の心を揺さぶる素晴らしい作品だと言うことです。

 是非、一度、お読みになってください。

その他のおすすめレビュー

秋田川緑さんの他のおすすめレビュー241