世界の果てでは神さえも墓のなか。

 安部公房風の印象的な出だしから一気に蠱惑されて、一日で読了しました。前述のとおり安部公房をはじめ、笙野頼子や松浦寿輝の系譜につながる、なつかしい雰囲気のシュールレアリスム小説です。長編にしたら、ガオ・シンジェンの『霊山』風の幻想ロード・ノベル巨編になるかもしれませんが、個人的にはこれくらいの中編で丁度よかったです。〈世界の果て〉〈世界の終わり〉というリフレインは叙情詩的で、世界の果てが日本国内に存在することや、神の墓というアイデアも非常にユニークでした。力不足ながら自分もこんな小説を書いてみたいとおもった次第です。