高原のホテル、ハーブの香り、星屑の天使。雨と涙とすれ違った恋の行方。

しとしとと降る雨と涙の冷たさ、心細さ、寂しさが伝わってくる。
どこか抽象的でありながら、揺れ動く心の描写はひどくリアルだ。

彼の些細な言葉が、甘えが、わがままが不意に悲しくなって、
彼女は誕生日間近の週末にただ一人、高原のホテルを訪れた。

彼女を迎えたのは、天使のように美しく不思議な青年と、
彼が育てるハーブの香り、彼が手渡してくれる透明な滴と雫。

詩的な言葉遣いが織り成す世界観は独特であり、繊細であり、
淡くにじんでいるようで、まるで水彩画みたいだと感じた。

雨の滴りとともに語られる恋の話。
優しい切なさを求める人に、ぜひ。

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