これは書き手の壮大な構想を『一冊の本に纏めた』詩編である。
強烈に癖のあるキャラクターの自己紹介、それが冒頭に用意されている。
そこでまず身を乗り出し、姿勢を正して読む構えをとってしまう。
紹介文は短いものだったが、その500文字にも満たない文章に魂が宿っているのを感じたからだ。
あらすじにもある通り、これは脱獄物語。
しかし普通の刑務所からの脱獄ではない。
超極悪人が収容されている無法地帯からの脱獄でもない。
ある特殊な条件を満たす者が収容されている場所からの脱獄だ。
その場所については、読み進めると直ぐに明記されているので是非御自身の目で確かめて欲しい。
狂科学者、人間味の無い合理的な人物、そして未知なる機械人形。
物語の軸となる主要人物に加え、妖艶な謎の女性やロリテイスト漂う女科学者等、一癖も二癖もありそうな愛すべきキャラクター達が脇を固める。
それだけでも既に面白そうな予感が走る設定であるのに、これでもかこれでもかと興味深く惹きつけられるエピソードが重ねられ、もう許してくれと身体が歓喜の悲鳴を上げ続ける。
私如きのレビューでは満足にこの物語の良さを伝えらえないのが口惜しいが、それでも書いておきたい。
何故なら、そうする事によってこの真なる壮大な物語がWEBを閲覧されている方の目にとまるからだ。
本当は独り占めして誰にも知られたくない。
そんな思いもあるのは確かだが、それ以上にこの大作は万人に評価されて然るべきだと思う気持ちの方が強い。
是非読んでくれなどと、陳腐な台詞は書けない。
だから、こう書こう。
共に新たな可能性の息吹を見定めよう、と。
刑務所に閉じ込められている男、織田輝男の長い前置きで始まる本作。
自分の発明のせいで五千人の命が奪われたのだと苦悩する織田輝男を始め、アトランティスの首都で生まれたE・スケイプという名の「ボク」。そして「わたし」という名の人物など、序盤から三つの視点が登場して、壮大なストーリーを予感させます。
今の段階でキーマンと思われるのはやはり、織田輝男でしょうか。おそらく彼が脱獄をしたところから大きく物語は動くと思われます。まるでアルカトラズ刑務所かのような厳重な警備をかいくぐった先にある物語は一体――。
タイトルにもある「アトランティスのつまようじ」が、どう物語に関わってくるのかも気になりますね。
皆様も是非、壮大な科学小説(サイエンスフィクション)を読んでみませんか(⌒∇⌒)
危険とされている科学者たちを、一つの刑務所にまとめて収容しているという設定が、まずすごいです。
科学者を主人公にするということは、かなりの知識を有すると思うのですが、読んでて「賢いな~」と言わされてしまうほどに、しっかりとした知識を盛り込んでいます。
そのくせ、ただのうんちくな感じが全くせず、むしろ知識を披露されればされるほど、科学者の壮大なロマンにわくわくさせられます。
人間模様もしっかりしていて、科学者が苦悩している姿がリアルに表現されています。
「アトランティスのつまようじ」の正体を知ると、これまたセンスがあるなあって関心させられました。
物語としてのレベルの高さを感じさせる作品ですが、何も考えずにサラッと読んだとしても、すごく楽しめる内容になっていると思います。
まだ途中なんですよね。続きまだかなーって思ってます。
――長野の山奥に日本中の天才をあつめた研究所があった。
そんな研究所に収容された、天才科学者の中に1人のハゲ。いや、男。主人公は51才のおっさんです。しかもハゲ。名は織田輝男。
『輝く男』です。名前憶えましたね? 彼の語尾はハゲですからね。覚えましたね?
でも、彼が輝いているのは頭の外側だけでは無い。
その内側なんだ(キラン
そんな彼が、その天才的な頭脳でついに世界からハゲを根絶!? 全ハゲの希望の星。織田輝男。彼と、彼をとりまく『地上の星』な物語だ!
……ふざけすぎました。ごめん。
物語はしっかりとした語り口で語られる冒険物語。
幻の大陸アトランティスを探し出すという。『これぞ物語!』という魅力に溢れた本作。もの静かな語り口ですが、読みずらいことなんてなく、読み始めたらスラスラと読めます。
少年少女時代のキラッキラした夢。それから早四十年。
社会的な大成功を収めた面々がそれを打ち棄て、追い求めるその夢の行きつく先には……
アトランティスとは何なのか? 何処にあるのか?
それを追い求め続けた者達の行きつく果てとは?
輝く男が照らし出すのは、我々人類の希望か否か。
いまからラストが楽しみでなりません。
アトランティス、という単語に興味を引かれて読み始め、登場人物や設定があまり自分の好みじゃないなと思いつつ、そのまま当時の公開分(九幕ぐらいまでかな)一気に読み切っていたという……完全に、やられました! な感じの作品です。
とにかく、物語に力がある。
登場人物の存在感というか、熱量に引き込まれて、一気に読み進めてしまう。
どのキャラクターが好きというよりも、物語全体にある熱、生命感とでもいうのか、そういうものに引きずられるようにして読みました。
まずは一ページ、開いてみることをおすすめします。
冒頭の自己紹介からして作品の面白さが出ているので、きっと一気に作品世界に引き込まれると思いますよ。
関川さんの小説を読んだ後は、いつも考えさせられます。
自分の解釈はあってるのだろうか? と不安になりながら(これは決して筆者の意図するところではないとは理解しているのですが)ストーリーを振り返り、セリフを振り返り、残されたメッセージを考えます。
いつも「読みやすく、世界に入り込めて、読後感のいい小説」であるがゆえに、単純に読んで面白かった、だけだともったいない気がして。
多くの話を書き、多くの話を読む筆者の苦悩、ストイックなまでに読者視点に立ち続け、アイデアを出し続け、こだわり続け、すり減らした筆者の魂が感じ取れる気がして。
作中のキャラクターに対する愛情、こだわりと情熱、あくなき向上心、書くことに対する楽しみと苦しみがどこから生まれるのか知りたい気がして。
そんな筆者のジレンマが表れているのがまさに今作なんじゃないかな? と思ったり。作中のストーリーテラーは全て筆者、関川二尋の分身であることに疑いの余地はありませんが、それぞれが悩みや思いのたけをぶつけ合った結果の完成度、という気がするのです。筆者の脳内ではきっと、繊細な関川、大胆な関川、そしてアイデアを出す関えもんによる、あーでもない、こーでもない、いっそのことぶっちゃけてみるか? やっちゃう? やっちゃえ! みたいな会議が繰り広げられていて、それを経由して「アトランティス⇨アトランティス」の旅が出来上がったんじゃないかな、と勝手に妄想してしまうのです。
今作は純粋に「読んで良かった」と思うとともに、これからも関川さんには傑作を生み出し続けていただきたいな、と、そんな感情を抱きました。
これほど壮大かつ面白い物語を、私は数えるほどしか知りません。それは三十三万強の文字数を言っているわけではありません。
今作は、謎の大陸アトランティスを巡って繰り広げられる、冒険活劇ですが、よくもこれだけの内容を破綻することなく、そして読み手を引き付けて離さないストーリーを構築できたものだと、読了後にため息がもれました。
主人公は天才発明家のテルオ、そして少年スケイプです。それぞれの立ち位置で話が進んでいきます。毛細血管のように張り巡らされた伏線が、この両者の物語をとても上手く繋いでくれます。
二人に関わる登場人物も、実に多彩に創られています。それぞれのキャラが与えられた役目以上の、とても素敵な演技でもって物語をさらに盛り立ててくれます。
長編映画を観賞するように、ワクワクドキドキしながら拝読していましたが、これは作者の代表作になると申し上げても過言ではないと思います。
読み終えた今でも、テルオとスケイプの二人がまだ頭の中で動いています。長編だからこそ味わえる濃厚な満足感、皆さまもぜひ味わってください。後悔は絶対にさせません。
大作というのはこういう作品のことを言うのだろうと思います。
タイトルにもなっている「アトランティスのつまようじ」。
実際にはつまようじより大きな、ダイヤモンドでできた美しい物体です。
過去にアトランティス大陸と思われる場所でそれを見つけた主人公の天才科学者・輝男。
彼がこの物体に刻まれたスケイプという人物の記録を解読したところから、謎に包まれたアトランティス大陸の過去と現在、未来がつながっていきます。
そしてそのアトランティス大陸の歴史に非常に大きく関わるのが、物語の中心となっている輝男と二百人の天才科学者たちのドタバタな脱獄劇です。
天才ゆえにその才能から生まれた発明品を悪用された科学者たちは、表向きは快適な研究所である刑務所に集められ、閉じ込められています。
輝男もまたその研究所に三十年も閉じ込められていたのですが、アトランティスのつまようじに刻まれた記録を解読したことが発端となり、科学者全員を引き連れた壮大な脱獄計画を実行にうつしていきます。
天才科学者たちならではの発明品を使った脱獄劇は、多くの波乱を巻き起こしながら、ユーモアたっぷりに進んでいきます。
彼らは全員無事に脱獄し、アトランティス大陸へ辿り着けるのか──。
これだけ書いても作品の面白さ、素晴らしさを伝えきれないのが歯がゆいのですが、とにかく是非ご一読ください!
作者様独特の心地よいテンポと読みやすさに加え、至る所に散りばめられた伏線が気になってどんどん読み進めてしまうことでしょう。
そして、作品全体を包み込む大きな優しさの中に人間の愚かさや理想の社会へのメッセージがしっかりと息づいており、読み手の心に深い感動を与えてくれます。
ワクワクドキドキハラハラ、時に目頭を熱くさせながら、数千年に渡って散りばめられたパズルピースのような謎がカチリカチリと見事にはまっていく爽快感を楽しんだ先には素晴らしい読後感があなたを待っています。
舞台となるのは天才科学者たちを集めた国立総合科学研究所……という名の刑務所。
刑務所といっても生活に不自由はないし、研究活動も好きなだけできる。ただ外に出るだけは認められていない。
そんな刑務所の中に閉じ込められていた科学者の一人、織田輝男はそこから脱走を企むのだが、ただの脱走ではない。
研究者200人全員を巻き込んだ大脱走だ。
しかも彼らの脱走の目的地は、幻の大陸アトランティス!
この輝夫の語り口調が大変軽妙で読みやすく、さらにエピソードを短く区切っていくので大変テンポよく読み進めることができる。
個人的にはSF作家カート・ヴォネガットの小説を思い出しました。
この輝夫と仲間たちの脱走計画だけでも十分に面白いのですが、本作はそれ同時に、アトランティスで暮らすスケイプという少年の物語、そして謎の人物が書いた輝男の過去を書いた伝記が同時進行で綴られていきます。
最初はバラバラに見えたこの3つの話が、物語が進むにつれて絡まり一つの物語に収束するという構成は実にお見事!
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=柿崎 憲)
物語の主題は「脱獄」ですが、現在・過去・未来という複数の時間軸をまたにかけた壮大な冒険活劇。
主人公の輝男は大学で物理を専攻したけれど、厳密には科学者ではなく発明家。数々の業績を上げ、ノーベル賞を受賞しながらも現在はなぜか刑務所に入っている・・・・・・というところから物語は始まりますが、冒頭からグイグイ引き込まれます。
スケールが大きいことは序盤でうかがえますが、こんなに壮大な展開になるとは予想もしませんでした。そして終盤で提示される人類史上のいくつかの謎への答えも興味深い。3つの視点が複雑に絡みあう構成ながら物語の筋は分かりやすく、冒険要素やアクションシーンも満載で少年漫画のようなノリで楽しめます。
ぜひご一読あれ。