物語が動き出すと同時に、鳥肌が立つ面白さ!

これは書き手の壮大な構想を『一冊の本に纏めた』詩編である。

強烈に癖のあるキャラクターの自己紹介、それが冒頭に用意されている。
そこでまず身を乗り出し、姿勢を正して読む構えをとってしまう。
紹介文は短いものだったが、その500文字にも満たない文章に魂が宿っているのを感じたからだ。

あらすじにもある通り、これは脱獄物語。
しかし普通の刑務所からの脱獄ではない。
超極悪人が収容されている無法地帯からの脱獄でもない。
ある特殊な条件を満たす者が収容されている場所からの脱獄だ。

その場所については、読み進めると直ぐに明記されているので是非御自身の目で確かめて欲しい。

狂科学者、人間味の無い合理的な人物、そして未知なる機械人形。
物語の軸となる主要人物に加え、妖艶な謎の女性やロリテイスト漂う女科学者等、一癖も二癖もありそうな愛すべきキャラクター達が脇を固める。

それだけでも既に面白そうな予感が走る設定であるのに、これでもかこれでもかと興味深く惹きつけられるエピソードが重ねられ、もう許してくれと身体が歓喜の悲鳴を上げ続ける。

私如きのレビューでは満足にこの物語の良さを伝えらえないのが口惜しいが、それでも書いておきたい。

何故なら、そうする事によってこの真なる壮大な物語がWEBを閲覧されている方の目にとまるからだ。

本当は独り占めして誰にも知られたくない。
そんな思いもあるのは確かだが、それ以上にこの大作は万人に評価されて然るべきだと思う気持ちの方が強い。

是非読んでくれなどと、陳腐な台詞は書けない。
だから、こう書こう。

共に新たな可能性の息吹を見定めよう、と。



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