概要
その文字列は楽園への扉を開く――
とある脳科学研究所では一つの装置が開発された。それはHGD。脳波を人工知能が解析し、文字から音韻や意味へと繋げる脳の働きを助けてくれるのだという。この装置を試したディスレクシア(失読症)の僕は文字が読めるようになったのだが、それと同時に『楽園への扉』を巡るおかしな事件に巻き込まれることとなる。
※この小説はカクヨム版伊藤計劃トリビュート
〈カクヨム計劃トリビュート/〉
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882669654
参加作品です
※この小説はカクヨム版伊藤計劃トリビュート
〈カクヨム計劃トリビュート/〉
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882669654
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!来るべき文字禍
無駄のない設定と鮮やかな起承転結、それらを補強する豊富な知識。
〈カクヨム計劃トリビュート/〉に相応しい、言語をテーマにした傑作短編です。
ディスレクシアの主人公、文字を持たない村出身の留学生、そして言語学者。
言葉に対し独特の視点を持つ人々によって物語は進んでいきます。
その過程で明らかになるのは言葉の在り方と、人の在り方。
そして人の行き着く先。
虐殺の言語のアイデアを煮詰めた高密度な設定を展開しつつも、決して単なる後追いにはなっていません。
言語や脳に関する解釈には人工知能も絡められ、伊藤計劃氏の著作とは異なった趣があります。
そしてそのいずれもが伏線として機能し、見事な着地点へと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最後に生き残るのは、どの性質なのか。
こんな話を聞いたことがあります。
現在発達障害と言われるADHDや自閉症、アスペルガーなども、遺伝として残っている以上有益な部分が実際は多分にあり、過去の偉人などを見ても、多くがそれらの要素を持つ人々であったと。
結局、現在障害と言われている性質でも、それはただ現代人の集団生活に馴染むのに不適であるが故に「障害」と言われているだけで、実際は人間として生きていく際には、多くの有益性が存在し、それ故に現在も脈々と受け継がれているのでしょう。
この作品では、そんな受け継がれる優劣というテーマを我々に問いかけつつも、娯楽作品としての体を失わずに最後まで描かれており、とても好感が持てました。
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