その細胞は明日へと続く

作者 糸乃 空

きっと明日につながっている絆

  • ★★★ Excellent!!!

 ふわっと温かくなり、桜が咲き始めると、なんとなく気分が緩んで体調を崩す。そう、僕は毎年、春に風邪をひく。どんなに雪が降ろうが、インフルエンザが流行していようが、真冬には体調を壊さないのに……。

 風邪で寝込んでいると、普段は気にならない心臓の音や血管が脈打つ音がなんとなくリアルに感じられる。免疫細胞たちが、僕の心臓から送り出された血流に乗って、風邪のウイルスを排除しようと必死で戦っているんだなと思う。日常生活の中で僕らは免疫細胞を気遣って生活しているわけではないけれど、でも体調を崩すとどうにも声をかけたくなる。「がんばれ僕の免疫細胞」 僕と彼らは、自分でも気づかないところでしっかりつながっていた。

 ふと気づかないところで、様々な絆が生まれている。本作品はそんなメッセージが込められているような気がした。きっとどこかでつながっているはずの絆。でもなんとなく忙しい日常の中で忘れかけている絆。でもふとしたきっかけで見えてくる絆。

きっと明日につながっている。
――それは。たぶん。きっと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

その他のおすすめレビュー

星崎ゆうきさんの他のおすすめレビュー 101