絶体絶命を感じて生きる、それもまた、青春。

モチーフそれぞれに存在感があり、一つとして捨てるところ、足りないところがありません。ちょうどこの作品を成分表にするとしたら、すべて合わせてぴったり100パーセントになるように、うまくかみ合ってこの作品が構成されていました。

作者さんは構成要素をかなり吟味されたことと推察します。
張りつめた緊張感があり、襟を正して読まざるを得ない物語です。

彼彼女らが全身全霊で懊悩するさま、そうしてこれからも「二十歳で死んでいくであろう」生きざま、それらが美しかったです。

まわりまわって、何も変えられない現状、懊悩に忙しい学生時代、そういった青春もまた、かけがえのないものではないでしょうか。

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