あちらも立てて、こちらも立てて

私たちの住んでいる世界とは異なる場所を舞台にするということは、私たちの世界とは何か異なるところがあるということになる。

月がふたつあるやら、ドラゴンが住んでいるやら。

そのほかの部分を私たちの住んでいる世界と同じにした時、変えたところと矛盾がなければよいのだが、そんなつごうの良いことは少ない。

つじつま合わせに新しい設定を考えると、さらに矛盾などが出てくる。

困るのは、その整合性が図れたとしても、当初イメージしていた世界とは大きく異なる、望んでいない世界ができてしまう時である。

しかし、そこまで行けるケースは稀であり、たいていは一行目でキーボードが止まり、その世界は終わりである。

そのように世界を終わらせたことのある人が読むと、古傷をなめられたような気分になるよいエッセイだと思う。

合わせて、このエッセイを読んでいると、そもそも自分の生きている世界のことをあまり知らないことに気づかされる(自分で異世界を作っている時もそうだが)。

物理法則などは「そうなっているから」で片づけていることが多い。

昔の人はどうやって火を起こしていたのか、などなど。

異世界を考えさせるのは、教育手段としても良いかもしれない。

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