人の勧めで読み始めました。
いわゆる活字離れ、といった世代に生まれたこと、また飽き症なこともあり、ビジネス本・啓発本・小説といった書籍を読むことは、少なくとも私にとっては日常ではありませんでした。
1章の冒頭ですら、(ああ、堅苦しい言葉が並んでいるな...)と、そのテーマが「SF系」でければそれ以上は読み進めなかったことでしょう。
・・・といった具合でぽつらぽつらと読み進めているうちに気が付きました。
ここ数日間、全ての隙間時間をこの小説に割いていることを。
読み始めたのはほんの数日前でした。が、あっという間に読了しました。
それほどまでに引き付けるものがあり、想像しえた先の展開をはるかに上回る結末を、私は非常に楽しみにしていました。
本作の読みどころ・・・テーマや登場する武具の数々、歴史的背景、謀策略の数々・・・挙げればきりがありませんが、特に突出していると感じた点は、キャラクターの作り込みです。
英雄はもちろん、それらを擁立する将校、他人のように思えるが根っこでは複雑に絡みあう関係諸々。
それらがまるで”現実世界で本当に実在するのではないか”、と思えてもおかしくないほどに詳細に、緻密に描かれています。
そして彼奴らが、何を考え、どう動き、その結果どうなったのかが、きちんと読み取れるような工夫がなされています。
全ての登場人物が、まるで読んでいる私ですら、無関係ではないのだろうかという没入感。これがあったからこその作品だと、私は思います。
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と、格好つけてレビューはしたものの、本作にドはまりした真の理由は「登場人物が格好いい」「二つ名が洒落ている」「武器防具が詳細に書かれていて読みごたえがある」「最強なのは誰なんだ」といった具合に、童心に根差すものです笑
言葉にしつくせない小説です。書籍も楽しみにしております。
女の子の頭の中には、恋愛、ファッション、旅行に料理と様々なジャンルで鮮やかに彩られています。
一方、男の子の頭の中は常に一つ。それは「この世で一番強いのは誰なのか?」
間違いありません。僕の身の回りの『グラップラー刃牙』読者8人に訊いたところ「だいたいあってる」と答えてくれました。
そして、そんな男の子の夢と願望と妄想を異世界を舞台に実現したのが本作『異修羅』です。
登場する戦士は16人。巨大なゴーレムを剣一本で斬り倒す、異世界からやってきた柳生の剣士。たった一射で地形を変動し洪水をも押しとどめる巨人。あらゆる格闘技術を習得したスライムにも良く似た粘獣。どんな魔法や攻撃を受けても傷一つつかない無敵の少女……といった普通に強そうな人(?)たちから、相手を殺したいと思っただけで命を奪うことができる暗殺者。大勢の配下を率い条件を満たせば簡単に人を支配できる吸血鬼。周囲の魔法や能力を無効化し純粋な暴力で敵をねじ伏せる大鬼など、イカサマ臭い能力を持った人たちまで盛りだくさん。色んなタイプのチートで最強なキャラが揃っています。
人間に限定されず、あらゆる種族から集められたこの強者たちが、命を賭けて最強を決めるトーナメント戦! こんなもの読みたくなるに決まってる!
ここで当然挙がる疑問として、「こんな奴らを戦わせてちゃんと満足のいく試合内容が書けるのか? 無敵の盾と矛を戦わせるようなものでは?」というものがあります。
それに関しても心配ご無用。現在物語は二回戦第一試合に突入し、一回戦の八試合は既に終了していますが、そのどれもが名勝負! こんな奴負けるわけねえだろと思われてたキャラクターが敗者となる過程や姿が説得力たっぷりに描かれています。
さらに大会の裏では運営側の思惑や裏工作が飛び交い、一筋縄では終わらない展開も予感され、シンプルながらも今後の展開が予想がつきません。今最も先が気になる作品といっても過言ではないでしょう。
というわけで、少年漫画でトーナメント展開に突入するとつい嬉しくなっちゃう人たちは必読ですよ!
(異世界あらかると 4選/文=柿崎 憲)
長年物語において取り上げられてきた「勇者」という存在は、果たしてどのように定義されるのだろうか。
それは、無双の武勇を振るう者だろうか。
それは、無窮の知恵を持つ者だろうか。
それは、無敵の勇気を持つものだろうか。
この作品には無数の勇者が登場する。異世界、異種族、異能力。十六人の最強の修羅たちが、「本物の勇者」の座をかけ、「本物の魔王」に脅かされた世界の秩序を取り戻すため──あるいは各々の願いを叶えるために──尊厳と魂と、そして時には正しい死さえも投げ出して戦うことになる。
彼らのなかには当然、凄惨な最期を迎えるものも数多い。それは本当に悼ましいことだ。けれど、同時に、彼らの戦いからは勇気をもらえる。凡庸な自分にも、何かが出来るかもしれない。そのための勇気を奮い起こさせる何かが、この作品には存在する。
勇者とは、どのような存在だろう。
それは人々に勇気を与える者だ。
それこそが、彼らこそがきっと、「本物の勇者」なのだろう。
書籍版読みました。
最強な人達がウェイウェイやる特濃とんこつスープ油マシマシ的なものと思い読み始めたのですが、5、6回泣きました。
強さだけが描かれてるのではなく、その強さを得た過程や結果や因果、さらには弱者からの視点まで丁寧に描かれていて完全に関係性オタの私の息の根を的確に止めに来ていました。
レグネジィの切なる願いに涙し、キアの普通の女の子っぽさのギャップとエレアの関係性に涙し、クゼの心優しいアウトローっぷりに震え……etc
次巻が冬に出るとか…2020年ベスト書籍は異修羅で決定じゃないですかこれ…
でもあのあとがきは真面目に憤慨ものです。本編で5、6回泣いた後の読者があれを読んでどんな気持ちになるか真剣に考えてみてほしいです!
本編はとにかく最高なんだから!!!!
ニンジャスレイヤー、FFS等名作ウェブ小説のソムリエである珪素さんが自ら筆を取った作品ということで読み始めた異修羅を最新話まで読み終えた(2018年8月時点で「願い」まで)ので、感想を書く。
「本当の勇者」を決めるトーナメントであり、「六合上覧」の名の通りシグルイ、というかその原作である駿河城御前試合の影響が強く見られる。あと参加者が一人暴走したので他の皆で討伐するあたりはFate/zeroを思い出させた。参加者それぞれの背景、戦う理由、「最強」であるということを描いた上で試合をさせるという構成はとても面白い。試合が開催される理由となった「本当の魔王」とは何か、何故死んだのか、という謎により全体の物語を引っ張るのも良かった。ただ、この作品世界がどういう世界なのか、そこに暮らす人々がどういう存在なのか、という描写が若干足りないように思う。「エルフ」や「ゴブリン」と言った既存のテンプレートを用いて「もう知ってるから説明不要でしょう?」という趣だったのも残念だった。そもそもスライムが使う格闘技とか言葉で説明されてもどんなのか全然想像つかないし…
でも先の展開を期待させつつ一切予測がつかない話の組み立てはさすがだと思った。
ちなみに自分の推しは絶対なるロクスレイです。普通の人間が普通に強い、というのは大事。
異世界ファンタジー世界で最強を名乗るにふさわしい猛者達が真の強者を決めるトーナメントに参戦する…
異修羅は王道中の王道展開を全力かつ全く新しい姿で描いている。
誰もが知るモンスター達。誰もが知っているストーリー。
誰もが知っている材料を独自に斬新に解釈し直し全く知らない世界を描いて見せている。
その手があったか、そんなことができるのか、じゃあこいつとこいつが戦ったら?この二人はどうやってお互いを攻略するんだ?
ページをめくるのが止まらなかった漫画があるだろう。次の週が待ちきれなかった週刊誌があっただろう。少年の頃に夢中にあったそんな物語が、あの時の心が蘇る物語だ。
この小説の真に魅力的な部分はその描写の妙にある。
「強い」ことをどうやって表現するか、どう見せれば説得力があるのか、そしてその強さとキャラクターの魅力をいかに融合させるか。
一つ一つの無双の強さが確かな説得力と心に残るエピソードと共に描写されている。
だから登場人物全員を好きになれるし、全員の強さに納得できるし、そしてだからこそ誰が勝つのかわからない。
その心踊る強者達の祭宴の裏に隠された遠い過去の秘密、魔王と勇者の謎も物語に花を添えている。
これほど描写も設定もキャラクター造形も上質なweb小説などそうそう読めないだろう。
異修羅は今カクヨムで間違いなく一番面白いファンタジーだ。
この作品の魅力は、とにかく出てくるキャラクター全員が強いということに尽きます。
一人一人が、世界を変革しかねないほどの力を持っている。心から、「どうやって倒せばいいんだこんなの」と思わせるほどの、完全無欠の隙がない強さを持っています。その見せ方がうまい上に、最後にその強さを整理して紹介してくれるから、”無茶苦茶だなー”という反則的な印象にならず、説得力を持った強さを演出してくれます。
その上で、一人一人が物凄く魅力的なドラマを持っている。強さの裏にある背景がきちんと描かれて、感情移入出来たり感嘆出来たりほっこりしたりと、バラエティに富んだ物語を見せつけてくれます。作者さんの引き出しの広さには、驚くばかりです。
この小説が巧みなのは、この最強たちの紹介だけにとどまらないこと。この小説に出てくる最強たちは、黄都という都を目指します。誰が一番強いのかを、決めるために。
「どうやって倒せばいいんだこんなの」と思わせる、ドラマを持った最強たちが、互いに戦い合い、優劣をつける。誰一人として、捨てキャラがいない。こんなの、わくわくしないはずがありません。
なによりも、これほどに一人一人を魅力的に書ける作者様が、こいつらを戦わせあって面白くならないはずがないという信頼感があります。
今、最も続きが気になる小説です。
様々な『最強』が、トーナメント形式で戦うというストーリーです。
異世界を舞台としつつ『旅』『冒険』の要素はほぼ無い、珍しいストーリーなのですが、だからこそ濃い戦闘に特化しています。
そう、戦闘は面白いのです。
仲間と冒険するファンタジー作品が多い中で、忘れがちですが。
ずば抜けて個性的な最強たちによる、試合の連続。
極めて個性的であり、そんな存在が成り立つのか、というような不思議なキャラクターも登場します。
○○なのに格闘家。
○○でありながら暗殺者。
試合編が始まると、まさしく死闘の連続です。
最強同士のぶつかり合い、予想できず一試合ごとに目が離せません。
一方が窮地に立ち、「こんな奴に一体どうしたら勝てるんだ」という状況から、まさかの展開が起こります。
......私はサイアノプ推し、かな?
いやヒロト。
非常に悩むところです。
また、試合前の駆け引きも徹底しています。
これに関しては「面白い」という見方、あるいはフェアじゃないなど、賛否意見はあると予想しますが。
黄都の行く末をも左右する試合、開始の前から始まっています。