異世界、異種族、異能力。理を壊す十六の修羅。
- ★★★ Excellent!!!
長年物語において取り上げられてきた「勇者」という存在は、果たしてどのように定義されるのだろうか。
それは、無双の武勇を振るう者だろうか。
それは、無窮の知恵を持つ者だろうか。
それは、無敵の勇気を持つものだろうか。
この作品には無数の勇者が登場する。異世界、異種族、異能力。十六人の最強の修羅たちが、「本物の勇者」の座をかけ、「本物の魔王」に脅かされた世界の秩序を取り戻すため──あるいは各々の願いを叶えるために──尊厳と魂と、そして時には正しい死さえも投げ出して戦うことになる。
彼らのなかには当然、凄惨な最期を迎えるものも数多い。それは本当に悼ましいことだ。けれど、同時に、彼らの戦いからは勇気をもらえる。凡庸な自分にも、何かが出来るかもしれない。そのための勇気を奮い起こさせる何かが、この作品には存在する。
勇者とは、どのような存在だろう。
それは人々に勇気を与える者だ。
それこそが、彼らこそがきっと、「本物の勇者」なのだろう。