恐ろしい物語

物語は世界を恐怖で侵食していた真の魔王が何者かに倒され、その人物が名乗りをあげないため、一騎当千の強者達を集めトーナメントを開催して最強=真の勇者を決めるという展開で裏では様々な陰謀が進行していくのだが、まず登場人物達が魅力的かつ強さの説得力が素晴らしい。突出した純粋な個としての力を持つものもいれば、集団としての総力で戦いに挑むものもいる。それと同時に強さの説得力がありすぎるせいで殆どの登場人物に親しみなどは全く感じられない。
ここまで異質なキャラクター達を生み出した力は見事の一言である。
こんな奴らが命のやり取りをすれば面白くないわけがないし、同時進行する陰謀と少しずつ明らかになる謎もハラハラしてしまって、時に直視できなくなることが必死だ。
物語、特にファンタジーはその世界に没入してハラハラワクワクするものだと思っているが、自分がこの世界にいったらもうこの世界と殆どのキャラクターが恐ろしくて仕方ない。ホラーじゃないのに読んでいるだけで恐怖を感じる。謎と恐怖と陰謀と闘争が混在した見事な作品だと思う。
作者にはまだ完結もしていない段階から完敗だと告げたい。

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異修羅

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