正気にて大業はならず、勇者道は死狂いなり

ニンジャスレイヤー、FFS等名作ウェブ小説のソムリエである珪素さんが自ら筆を取った作品ということで読み始めた異修羅を最新話まで読み終えた(2018年8月時点で「願い」まで)ので、感想を書く。
「本当の勇者」を決めるトーナメントであり、「六合上覧」の名の通りシグルイ、というかその原作である駿河城御前試合の影響が強く見られる。あと参加者が一人暴走したので他の皆で討伐するあたりはFate/zeroを思い出させた。参加者それぞれの背景、戦う理由、「最強」であるということを描いた上で試合をさせるという構成はとても面白い。試合が開催される理由となった「本当の魔王」とは何か、何故死んだのか、という謎により全体の物語を引っ張るのも良かった。ただ、この作品世界がどういう世界なのか、そこに暮らす人々がどういう存在なのか、という描写が若干足りないように思う。「エルフ」や「ゴブリン」と言った既存のテンプレートを用いて「もう知ってるから説明不要でしょう?」という趣だったのも残念だった。そもそもスライムが使う格闘技とか言葉で説明されてもどんなのか全然想像つかないし…
でも先の展開を期待させつつ一切予測がつかない話の組み立てはさすがだと思った。
ちなみに自分の推しは絶対なるロクスレイです。普通の人間が普通に強い、というのは大事。

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異修羅