心を豊にさせる昔話がここにある。――是非読んでほしい。これはいい。

本作は、大おばあちゃん(人見かえで)が過去を振り返るところから始まるのですが、第一話から落涙を予期させるような話の流れがあり、居住まいを正す自分がいました。

大おじいちゃんである坂巻慎太との出会い。
隣り合わせの戦火の中、思う存分、生を楽しむ子供達。
そして「もっちん」と「みかん」と出会った彼女は、やがて村を襲う凄まじい豪雨に見舞われることになるが……。

時代考証も丁寧で、昭和19年の情景が目に浮かびます。
童話と聞くと子供のために作られた話であり、大人が読むには耐え難いイメージがあるが、本作は大人に向けた童話、あるいは昔話という印象を受けました。

現代と過去を行き来する物語はやがて一つに交わり、必ず読者に大きな感動をもたらしてくれるでしょう。お手元にハンカチをご用意して読むことをおすすめします。

皆さまも是非本作に触れて、現代の傑作童話を堪能してはどうでしょうか(⌒∇⌒)

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