どんな旨い寿司でもこれがなければ。寿司の本質を引き出す作品。

 どんなに美味しい寿司でもやはり生の魚。その味わいは淡泊で、脂の濃いネタはしつこく感じるもの。
 その旨さを十二分に引き出す真の主役こそが醤油。
 その歴史は古く、一説には明治時代にようやく製造出荷が本格化されたとか。
 種類も地域性を反映して、冬が長く保存食品を常備することが必須の東北地方のものは、全体的に塩分が高め。
 長崎をはじめとした九州は、砂糖が輸入できて料理に砂糖を使うことが多いため醤油も甘いのだとか。
 作者さんが在住する東海地方は、刺し身が安価で手に入るため(羨ましい)醤油文化も旨味、塩分両方に特化したものやブレンドしたのも多いのだとか。

 閑話休題、タイトルにもある、なぜ醤油をむらさきと呼ぶのか。それは徳川吉宗の時代まで遡るようです。
 当時の醬油は、同量の塩に較べて8倍の値がつくほど高価でした。
 それを高貴な色かつ、染料としても貴重な紫色に見立てたのだとか。

 そんな深い歴史を知りつつ味わう寿司は、さぞかし旨いのだろう。
 そう考えながら、次に食べる寿司に想いを馳せる吉宗なのであった。