修行終了。

「じつは私。……なんといっていいか。貴方のご主人、えっと数十年前に死んだんですが。その息子なんです」


 こんなに大きくなって。とエルフはおもった。

 もう、そんなにも年月がすぎてしまったというのか。


 そういえば、どことなく愛する人に相貌がにていた。

 なつかしく、思いだされる。

 エルフと愛するひとの、過ぎ去った日々を、はかな――


 息子? 子供? ……え?



「…………」



 エルフと、愛する人の間に……。子は、いなかった。




「あのゲスやろう……」




 エルフは出刃をまな板に突き立て、店に火をつけ異世界に去った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

可憐なエルフ少女は、きょうもカウンターで寿司をにぎる 北乃ガラナ @Trump19460614

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ