癖の強すぎる名探偵。尻ーズ化はしないんですか?

切り取った女性の下半身を壁に立て掛け、男性の性的嗜好の一種である「壁尻」に見立てたなんとも残虐な殺人事件。
その捜査協力を依頼されたのが、犯罪心理学者の稲村秋人であった──


まずはじめに。こちらの作品、女性はやや、いやかなり閲覧注意です。
女性を性的、暴力的な表現で描写するシーンが多々出てきますので、その様な表現に不快感を覚える方は読まない方がいいかもしれません。

でも、そこがクリアできるなら、かなり面白い内容です。推理ものという意味でも、コメディ的な意味でも。
と言うのも、主人公の稲村自身も壁尻が好きという特集性癖の持ち主。
現場で壁に立て掛けてられた女性の下半身を見る度に興奮してしまい、捜査どころではない状況に置かれます。
しかもこれ、彼は大真面目に推理しながら大真面目に興奮しているのです。そのギャップが面白く、また彼の欲望にまみれた性的嗜好が作者の軽快な筆致で描かれている為、何度か大笑いしながら読んでしまいました。

肝心の謎解きも、物語が進むにつれて謎が深まり、犯人が知りたくてついページを繰ってしまいます。
最高に盛り上がる謎解きシーンでも、自分の欲望に正直な彼はぶれません。もう、ぜひとも最後まで笑いながら読んでいただきたい作品です。

一風変わった癖の強すぎる名探偵。
多分、いや絶対にここでしか読めない物語です(笑)
まずは一度お手にとってみてください。

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