迫力の剣戟シーンと手に汗握る追跡劇。大人向けの傑作ファンタジー
- ★★★ Excellent!!!
まず、「領主の愛妾を護衛して送り届ける」という主人公・クライフの目的が明確なため、物語にしっかりとした筋が通っている。主人公がいったい何をしたいのかが不明な小説が多い中、緊迫感を保って最後まで読み進めることができる。
そして、次々と現れる追手との対決シーンが迫力の一言である。血と鉄の臭いが画面越しに伝わってくるかのようだ。
血なまぐさい場面が続く中、旅の仲間である女性たちとクライフとの掛け合いにはほっと一息つくことができ、良いアクセントとなっている点も特筆すべきだろう。
何と言ってもクライマックスシーンにおける傭兵団長・カーライルとクライフとの決闘は、圧巻の一言。師匠である「隻眼の老人」の存在も、まことにいい味を出している。
余韻を残す読後感もまた素晴らしい。タイトル通り、クライフが鳳となって物語世界で大きく羽ばたく姿を想像しながら、本作を読了した。大人の読者に自信を持って推薦できる作品である。ぜひ、続編にも期待したい。