学園都市の地下迷宮に眠る「世界の謎」をめぐる冒険譚。抜群の面白さ!

スチパン世界で繰り広げられる、ボーイ・ミーツ・ガールならぬ「ガール・ミーツ・ボーイ」です。しっかりと作りこまれた設定、ワクワクする世界観、テンポの良い文章と小気味よいセリフ回し。お薦めポイントは多々あれど、この作品を魅力的なものにしているのは、間違いなく、主人公・プリズマティカのキャラクターでありましょう。

また、ぜひとも特筆したいのが、舞台となる都市・アルジェンティナの重層的な構築性。「都市」の実在感は、そのままファンタジー世界の実在感へとつながり、物語に奥行きを与えています。

物語が進行するにつれて、プリズマティカこそが、天才科学者パスカル・アルファをめぐる「謎」の中心であることが徐々に明らかになってきます。そしてどんでん返しに次ぐどんでん返し! もう唸るしかないストーリー展開には脱帽の一言です。余韻を残しながらのクライマックスもまた見事。

タイトルでやや損をしているという印象がないでもない本作ですが、SF、ミステリー、ファンタジーの要素を詰め込んで、最後まで読ませる魅力を持った傑作と言えましょう。

主人公以外のキャラ造形も秀逸なのですが、個人的にはプリズマティカのライバル(?)、ウルスラがいい味を出してます。

こういう埋もれた良作に出会えるあたり、まだまだこのサイトの可能性は捨てた物でもないのでは?