文明薄暮の帝都怪異。挑むはブン屋と三文文士。怪談には異端者がよく似合う

三流新聞社の冷血記者の関と、彼の旧友であるアル中三文文士の大久保。
そんな二人の社会のはみ出し者が、今日も怪異の取材に挑む。

あまり人間的によろしいとはいえない二人の軽妙なやり取りと、
彼らが挑む人間の悲しくも愚かしい心が生んだ怪異のコントラストが、
発展を遂げながらもまだ成長しきっていない帝都の雰囲気と相成って
実に奇妙な味わいになっているのが面白い。

様々な形で彼らの前に現れる怪異。
そのおどろおどろしさと、それに向き合う際の大久保と関、それぞれの心理心境。
そうして怪異と関わる中で起こる、二人の心境の変化……。
そこに見える普段のダメさとは違う人間性もまた、この作品の魅力であろう。

その他のおすすめレビュー

シャル青井さんの他のおすすめレビュー166