アキレウスの盾 inner universe

作者 七瀬夏扉@ななせなつひ

60

22人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

 この小説に書かれているテキストの全てが上質であり、作り上げられている世界観の全てが優雅で、作品の全てが新しい未来への可能性を語りかけて来ている。
 そして、これを読んだ私の感想なのだけれど、作者が読者である私たちにこの作品を通して伝えたかったことは、『未来への希望』のように思えた。

 新しい何かに挑戦する人々。新しい世界を知ろうとした人々は、みんな希望を持ってその一歩を踏み出した。
 新しい航路を求め、新大陸を発見した船乗りたち。
 未踏の地へと進む開拓団。
 空を飛ぶことに挑戦した兄弟。
 宇宙へと飛んだスペースシャトル達。

 危険は承知の上だ。でも、それでも彼らは前に進んだ。
 歩き、発見して、深く本質を探っては作り上げてきた。
 そうして歴史は積み重ねられ、今の私たちは生きている。
 もちろん、人類が手に入れたのはメリットだけではない。
 重ねられた歴史の中には、目も覆いたくなるような酷いことだってたくさん起きた。
 それでも、この物語は新しい何かを知ることへの探求心と、それを得た先の心の中に芽吹く、希望のある未来が私たちの行く未来にも存在するのだと言うことを教えてくれる。それを思い出させてくれる。

 果たして今後、宇宙へ進出していく現実の私たちが何を手に入れるのか。

 それは、この物語に描かれているような新しい物質なのか。それとも人間そのものが新しいタイプへと革新していく『きっかけ』なのか。
 劇中の人々が新しい何かを予測し、確信を得てそれを求めたように、inner universe、我々の心の中の宇宙に希望がある限り、明るい未来がきっと待っている。
(長たらしく書いてしまいましたが、とても素晴らしい短編小説だと思いました、すごい!)

★★★ Excellent!!!

 すばらしい。良質なSFには、ロマンが必須。この小説にはそれがある。そして、キャラクターたちのドラマ。短い話のなかで、その人間関係がきちんと変化しているところも素晴らしい。そしてSF的なギミックもちゃんとある。


 本作を読んで、海王星だか天王星だかの衛星が発見されたとき、アイザック・アシモフが感心してた話を思い出しました。(うろ覚えですみません)

「天文学者、ギリシア神話に詳しすぎ!」とかなんとか。


 また、地味な高等技術で、セーガン(このネーミングもいい)のセリフが、翻訳調というのがツボでした。

★★★ Excellent!!!

宇宙に興味があった高校時代、超弦理論やホーキングの本を読み齧っていた。途方もない、果ても分からない、広大なその世界に想像を巡らせて楽しんでいた。
今思えば、それを「ロマン」と呼ぶのだろう。

この作品を読んで、なんとなくそれを思い出したのです。
観測し、分析し、名前をつけ、未来に希望を託す。
その様子が、比喩表現巧みな美しい文体で綴られています。
見果てぬ銀河に恋をして、今日もロマンを抱えて仕事をする人々の、優しい物語。

★★★ Excellent!!!

 どこからか現れた謎の流星群。
 地球に迫りくる流星は、一体どこからやってきたのか。
 予測不可能な宇宙の謎と真摯に向き合い、新たな発見や知見を得ようとする科学者たちのお話。
 王道のSFであり、宇宙の不思議と奥深さがしっかりと描かれた作品です。

 人には聞き取れない『星の歌』。何らかの意思を有していたとしても、あまりにも壮大すぎてとても全容を掴めない彗星と流星群。
 ちょうど「ソラリス」においてスタニスワフ・レムが描いたように、宇宙には、人には未だ理解できない何かが存在するのかもしれない。けれど、作品の中でセーガンが述べたように、いつか遠い未来には、それを理解できる日がくるのかもしれない。だから彼らは観測を続ける。事象を観測すること、それが科学の始まりであり、理解への第一歩なのだ。
 だからどうかこの物語を読んで、未だ見果てぬ宇宙へ思いを馳せてほしい。

★★★ Excellent!!!


昔、天文学にはまっていたこともあり、興味をひかれた一作。読み始めてすぐに宇宙ロマンあふれる世界観に、ぐんぐん引き込まれました。

理解するには難しい用語もありますが、個性的な登場人物たちのおかげで抵抗はありませんでした。
癖はあるけれど探究心が溢れるキャラクターたちと一緒に、神秘的な宇宙の世界をお楽しみください。

★★★ Excellent!!!

ロマン溢れる物語。もうロマン。すばらしい。
もともとこの手のお話が大好きな私としては
外せないストーリーでした。

星たちは "何を想って" やってきたのか。
人類は今はまだ、知ることは出来ない。

人類はそんな星たちに "何を想う" のか。
人と人の想いが絡み合う中で生まれる、
彗星と流星群の "名前" 。
そこには少なくとも一つの答えがある。

舞台演出も美しく、
登場人物もありありと脳内に描き出せるほど。
脳内で映画になっています。
そのくらいの緻密さを持った作品です。

もし「空」に少しでも関心があるのなら、是非。

★★★ Excellent!!!

天文学的数字と聞いただけで、逃げ出したくなる私には、天文学にとても難しいイメージがあった。

でも、このアキレスの盾は、そんなイメージも吹き飛ばしてくれるようなロマンがありました。

夜空に浮かぶ月を、星を、見上げるときに、セーガンたちのような学者に思いを馳せてみるのもいいかもしれない。

★★ Very Good!!

まさかのセーガンが主人公でソユーズ読者はちょっとニヤリとできるかもしれません。

SF雑誌に関する企画ということもあり、母体ソユーズよりもSF要素が濃厚。悔しいのは私がこの辺の前提知識を持ってないので、ほとんど文面のままでしか読めなかったこと。きっと詳しい方は私の数倍以上は楽しめることでしょう。

「もしかしたら、人類に恋をしてるのかもしれませんよ?」

このセリフ、好きです。
かの有名な科学者も発明の1%はひらめきであると言った。性格も思考も真反対である二人が出会ったからこそ、新しい発見が生まれたのでしょう。

★★★ Excellent!!!

星々、そして宇宙という観点に立てば、人間はあまりにもちっぽけ。しかしながら、だからこそ人は宇宙に、星に憧れ遙か太古の時代から空を見上げてきたのでしょう。

この作品にはそういったロマンが詰まっています。本作自体はサイドストーリー的な趣もありますが、本筋を知らなくても全く問題ありません。ぜひ皆さんも、こちらの作品と共に星々に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。