架空の歴史を辿った未来の社会で、健気に生き抜く少年たちの姿を描いた物語です。
1話1話のボリュームはそこそこありますが、驚くほど読みやすく、毎回気づくと読み終わっていました。
成長した主人公が自分の過去を語っているという構成のため、波瀾万丈な人生をぎゅっと濃縮して味わっているような旨みがあります。
このお話の登場人物たちは、みんな貧しくとも前向きで、生きる力に満ち溢れています。
心が折れてしまいそうな辛い境遇に落とされても、仲間と手を取り合い、酷い大人たちから弱者を守ろうとします。
身の丈を知り、相応の道を過たず選び取る。
きっと難しいことなのに、それを自然にやってのける彼らの姿が眩しい。
そういう「正しさ」が報われる気持ち良さが、この物語にはあります。
読めば必ず明るい気持ちになる。
今の時代だからこそ読みたい物語です!
とても胸を熱くさせてくれる作品に出会えました。
ひとつひとつのエピソードは、「○冊目」というタイトル通り、まるで人生史丸一巻を読んでいるかのようなボリューム。
字数ではなく、ストーリーの密度が凄いのです。
レンジという男子が、親に捨てられながらも、弟を守り、親友と共に強く生き抜いていく青春ストーリーです。
彼が語る自分の人生が、まさに奇想天外・波乱万丈の連続。
次から次へと巻き起こる珍騒動の数々!
決して裕福ではない暮らしの中で、それでも真に大切なものを何があっても決して手放さない。そんな彼らの姿に憧憬の念を抱きます。
今私たちの周囲に溢れているものは、本当に全て必要でしょうか?
彼らはどんなに生活が豊かになっても、決して散財せず、本当に大切なものが何なのかを理解しています。
だから、ある事件により財産が意味をなさなくなった時にも、悲観することなくありのままの姿でい続けます。
子供の時から。大人になっても。
どんな時にも、みんなただのムニャムニャ。
何度も出てくるムニャムニャという言葉、とても可愛いのですが、作品全体もそんな感じでとても明るくコミカルに進みます。
深く考えれば、人類の根源を問うような深遠なテーマでもあるのですが、楽しく笑いながらさらっと読むこともできます。
どんな時にも家族を大事にする、愛すべきムニャムニャたちの姿には温かな感動を覚えます。
何があっても最後まで、安心して読める、とても幸せな作品です。
大人に振り回された子供たちは、ある日「進化」という奇跡を手に入れます。
彼らはその力を使い、同じように苦しむ子供たちを親の元から救い、「子供十字軍」なるものを結成します。
彼らは時に裏切られ、疑うことを覚えるようになりましたが、それでも人の善意を信じて進みます。
その純粋さは、やがて大人たちをも変えていくのです。
長い時間をかけ、子供だった彼らも大人になり、さまざまな奇跡を自らの力と周囲の助けで掴み取っていきます。その快進撃たるや、誰もがワクワクすることでしょう。
しかし、世界のすべてがひっくり返る、ある事態が起きるのです。
私の心は揺さぶられました。
これは絶対、今の世の中に読まれるべき物語。
すべては諸行無常。でも、慈悲と、可能性は滅ぶことは無い。
そんなことを信じさせてくれる物語です。
はじめに言いますがこの作品メチャメチャ面白いです。
関川さんの作品は2つ目ですが早くも関川ワールドにハマりつつあります。
SFなのだけど、取っ付きやすく誰もが理解しやすい。その一因はかみ砕かれて丁寧な文章にあると思います。読者をひきつけつつ、謎も残しつつ、綺麗に文章が展開していき、最後にはすっと気持ちよく終わる。なんでこんな面白い文章が書けるんでしょうね。
話の内容を少し述べますと幼くして母に捨てられた主人公のレンジ、弟のコトラ、そして二人を救ってくれたケンちゃんの送る物語です。貧困にあえぎ、少ない給料で雇われ身を粉にして働く。そんなある日、コトラの身に異変が起きて……。
子供十字軍を結成したり、捕まってしまったり。レンジの人生は波乱万丈ですが、同時に煌めきにも満ちていると思います。
それは支えてくれた多くの仲間がいたからです。出所した時レンジは自分に職がないことを焦りますが、周りの人たちの掛ける言葉がまた良い。周りの人たちはレンジという人間の可能性を信じていたのかもしれません。
人生にはつまらない瞬間や振り返りたくない瞬間もあると思いますが、彼らのように一生懸命生きることを思い出して、時には自分もまたムニャムニャなんだと思いながら日々を送っていければと思います。
主人公の少年「レンジ」は弟の「ツバサ」と共に母親から捨てられてしまいます。
そこで友人の浮浪少年「ケン」を頼って共に生きていくことを選択するのです。
家族を守るために仕事を覚え、時に悔しい思いをしたり、人に騙されそうになったり。
やがて「レンジ」は自分のするべきことは自分と同じように大人のために苦しめられている子供たちを助けることだと考えるようになります。
あらすじだけでは過酷な物語のように思えますが、主人公たちが前向きで明るいので暗い雰囲気はまるでありません。
少し荒唐無稽な展開もあるのですが、それを感じさせないくらいに登場人物の想いや作品内の雰囲気が情感をこめて描写されるので「こんな奇跡も起きるのだな」と納得させられるだけの説得力があります。
「ボーイズダイアリー」とあるとおり少年が成長していく日々を描いた物語ですが主人公たちは最終的には中年くらいに成長していきます。
しかし人は良くも悪くも大人になっても役割という「殻」の下に「少年」を隠し持っていて、あの頃のように自信を持って楽しく生きることを忘れてはいけないのだ、というメッセージがタイトルとストーリーに込められていると感じました。
感受性の大切さを忘れがちな大人のための現代の童話ともいえるかもしれません。
読みやすく、最後まで楽しむことができました。
本来の『平等』という言葉には――
「才能や能力、自分らしさを一人一人が思う存分発揮する」
という意味が込められている。どんな判断も比較もない、考え方も生き方も人それぞれ……それで良い。それが『平等』であると。
人は、つい誰かと比べて一喜一憂してしまうものです。作中でも、主人公のレンジが思い悩むシーンがありました。この悩みにとらわれている限り心が休まることはありません。そんなレンジを助け、気分を盛りたててくれるのがケンやコトラといったムニャムニャな仲間たち。彼らも、それぞれ得意な能力を存分に発揮して個性を光らせています。人よりも「良い、悪い」「できる、できない」「上だ、下だ」などと判断せず、運命に任せ切って生きる。誰もが『平等』に生きているなと感じさせてくれる作品です。
もちろん、作者様の才能や能力、そして作者様らしい筆づかいを存分に発揮しているハートフルな仕上がりになっていますよ☆
少年少女というのは、結束したがるものなのである。
「怪人二十面相」には、少年探偵団。
そう、事件現場でBDバッヂを落とし、仲間に知らせるのだ。
小林少年は確か、仏像の中に身を潜める離れ業をやってのける。
ここでも、こどもたちが大活躍する。手を取り合って。
主人公レンジ、弟のコトラ、そしてケンちゃん。
もちろん、恋だってきちんとするのだ。
このお話はね、こどもたちに開かれた秘密図書館の1冊だ。
惜しげなく、困った子たちに貸してくれる希望の書。
コトラの進化は、まるで飛び出す絵本。
頁を開くと、ムニャムニャがそっと宝を差し出す。
貧困からスタートして、苦難を乗り越え、知恵を持ち寄り
運命に挑む。彼らの進む世界は、それでもあたたかい。
多くの人にこの作品を読んでもらいたい。レビューとは本来そういった目的で書かれますよね。私は更にプラスして作者様への感謝の気持ちも上乗せしたいです。
プロローグでムニャムニャが出てきます。この単語が魔法の言葉で作品のあちらこちらに出てきます。このムニャムニャに当てはまる単語は何でしょうか。明確な答えがあるようで、でも上手く見つからない。そんな不思議な熱い想いがありました。
某少年漫画のテーマは「友情」「努力」「勝利」です。ボーイズダイヤリーも同じテーマは入っていますが、それだけでは終わりません。この三つのテーマは面白い作品には必要不可欠な要素だと思います。しかし、それは高度成長期の時代。つまりバブル時代に培った感覚です。時代によって流行がありますが、その事態は読者の感覚的なものが多分に作用されているはずです。
私は大正時代の傑作小説を読んでも面白いと思う事が非常に少ない残念な感性ですが、それを恥じた事は一度もありませんでした。古い文学はその時代に生きた人々が評価し感動した作品です。技術的な事や人間の原点を突き詰める作品など関心を惹く面白さはたしかにありますが私を心から感動させるものは少ないのです。
繰り返すようですが、私の生きている時代が違うのですから、その時代を生きた人達とは感性が違うのです。
話を戻すとボーイズダイヤリーに付け加える要素は「ムニャムニャ」です。ここでもムニャムニャが出てきている!
大切な単語なので読者の皆様も覚えておくと良いでしょう。読んで頂ければどれほど大切な言葉なのかわかるはずです。
ここで私の解釈したムニャムニャがなんだったかは語れません。読んで感じ取って頂ければ幸いですから。
人と人が相手を思いやり、ともに助け合っていく。
とても単純で純粋な行動を忘れたくありません。そう思わせる作品でした。
作者様。ありがとうございました。