本当に大切なものとは何かを教えてくれる、ムニャムニャ達の青春ストーリー

とても胸を熱くさせてくれる作品に出会えました。
ひとつひとつのエピソードは、「○冊目」というタイトル通り、まるで人生史丸一巻を読んでいるかのようなボリューム。
字数ではなく、ストーリーの密度が凄いのです。

レンジという男子が、親に捨てられながらも、弟を守り、親友と共に強く生き抜いていく青春ストーリーです。
彼が語る自分の人生が、まさに奇想天外・波乱万丈の連続。
次から次へと巻き起こる珍騒動の数々!
決して裕福ではない暮らしの中で、それでも真に大切なものを何があっても決して手放さない。そんな彼らの姿に憧憬の念を抱きます。

今私たちの周囲に溢れているものは、本当に全て必要でしょうか?
彼らはどんなに生活が豊かになっても、決して散財せず、本当に大切なものが何なのかを理解しています。
だから、ある事件により財産が意味をなさなくなった時にも、悲観することなくありのままの姿でい続けます。

子供の時から。大人になっても。
どんな時にも、みんなただのムニャムニャ。
何度も出てくるムニャムニャという言葉、とても可愛いのですが、作品全体もそんな感じでとても明るくコミカルに進みます。
深く考えれば、人類の根源を問うような深遠なテーマでもあるのですが、楽しく笑いながらさらっと読むこともできます。

どんな時にも家族を大事にする、愛すべきムニャムニャたちの姿には温かな感動を覚えます。
何があっても最後まで、安心して読める、とても幸せな作品です。

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