この物語の右ストレートは、かなりすごいぞ……ぶち抜かれました!

思春期独特の自意識を拗らせたリッコが見つけたのは廃屋を巡るという謎の趣味。無事に高校デビューを果たしても彼女の内面までは変わることはなく、休日にはクソダサ三つ編みメガネに戻って廃屋を巡る日々。

そんな彼女の前に廃屋巡りを理解してくれる同級生の男の子が現れ、そして次第に距離を縮め――恋に落ちていく。
しかし、彼こと北島功が付き合ったのはリッコではなく、友達の唯。リッコは二人の恋愛を応援する立場。二人の関係は、そして三人の恋模様は少しずつおかしくなっていく。

文章は独特のリズムとグルーブ感に満ちていて、そしてものすごい文圧で読者の脳をガツンと揺らしてくる。特に物語後半の畳みかけるような勢いは半端なく、まさに渾身の右ストレートが僕の顔面ど真ん中をぶち抜いてくれた。

この清々しく爽快なラストシーンをぜひとも多くの人に読んでもらいたい――そして吹きだすように笑ってほしい。

第二章のマグマは一転して男の子の自意識を扱っており、こちらの読みごたえもハンパない。全四章を予定しているとのことなので、続きを待ちたいと思う。

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