思春期独特の自意識を拗らせたリッコが見つけたのは廃屋を巡るという謎の趣味。無事に高校デビューを果たしても彼女の内面までは変わることはなく、休日にはクソダサ三つ編みメガネに戻って廃屋を巡る日々。
そんな彼女の前に廃屋巡りを理解してくれる同級生の男の子が現れ、そして次第に距離を縮め――恋に落ちていく。
しかし、彼こと北島功が付き合ったのはリッコではなく、友達の唯。リッコは二人の恋愛を応援する立場。二人の関係は、そして三人の恋模様は少しずつおかしくなっていく。
文章は独特のリズムとグルーブ感に満ちていて、そしてものすごい文圧で読者の脳をガツンと揺らしてくる。特に物語後半の畳みかけるような勢いは半端なく、まさに渾身の右ストレートが僕の顔面ど真ん中をぶち抜いてくれた。
この清々しく爽快なラストシーンをぜひとも多くの人に読んでもらいたい――そして吹きだすように笑ってほしい。
第二章のマグマは一転して男の子の自意識を扱っており、こちらの読みごたえもハンパない。全四章を予定しているとのことなので、続きを待ちたいと思う。
ああ、なんかすごくいい話だ──。
最終話を読み終えて一番初めに出てきた感想がこれです。
前半は、周りに期待される自己像を演じているのか本当の自分なのかわからなくなりながらも周りに合わせている委員長リツコの話。
後半は委員長の元同級生の友人でドラムをやっているハジメの話。
高校一年生の彼らはまさに思春期の真っ只中で、自分のうちにそれぞれギリギリのところで抑えて溜めている何かがあって、ともすれば噴き出してしまいそうなそれを抱えながら、高校一年生らしい日常を演じるかのように送っている。
そんな日常で人と関わりながら、人と向き合い、自分と向き合う中で押し上がる、大人への階段という名のステージ。
彼らがそのステージを一段押し上げる瞬間を鋭利に鮮烈に切り取った物語がそこにありました。
妙に理屈っぽくも軽妙に、息継ぎなく語る独特の長文も、息継ぎのままならない彼らの内側を絶妙に表しているように感じます。
助走をつけた委員長、これから芽吹く大地を固めた青木君。
彼らのエネルギッシュで清々しい青春に胸を打たれる素晴らしい作品でした。
自意識こじらせ系KUSO男子なので第二章とでも言うべきマグマからがすごいハマってしまいましたね。
それまでは自意識高めた女子への32%くらいの理解であ~それな~ってノリで読んでいたのがあああああああ!! それなああああああああ!!って多少うざいくらいの感じになってもうだめでしたね。
こじらせ系KUSO男子なので本当にレビューとしてひどいものになっていることは自覚しているんですがこじらせ系KUSO男子の本懐を遂げるべく、このまま「同じこじらせ系KUSO男子なら分かるよなー」って雑なレビューで済ませちゃいますよ。
おそらくこのひとこと紹介だと何を言っているんだか分からなかったりこじらせ系KUSO男子ってなんだよ痛々しいなとか思ってたりそもそも見もせずに通り過ぎられたりするんだろうけどそれでもそれでも言いたいので好き勝手に書きました。
大澤さんもっとこういう感じのサブカル男子書いてくれねえかな……。