第6話
「乗り気じゃなくなった。帰って。」
「何それ、本気?」
名前なんだっけこいつまあいいやモブでモブ。あの人に会える週末を私は一日千秋の思いで待ち焦がれていたというのにあの人は体調を崩して会えなくなって久々に相席屋に行って持って帰ったはいいけれどつまんない前戯つまんないセリフ誰がお前のチンコ入れるかっつーの。あんまりつまんないから抗鬱剤とか飲んでたら飲み過ぎじゃない?とか言い出す始末だしこれは私の用法用量を守った結果です。辛いこと多いんだね俺が側にいてあげるよってお前何様だよチンコおっ立てて何ほざいてんだクソモブが。ああつまらないつまらないつまらない。全然濡れないし私の膣内はもうあの人の性器しか受け入れないのだ。あの人の声で目でそれだけで濡れるのにもう他の誰ともヤる気がしない。とりあえず乳首舐めてたら女みたいに喘ぐし何でそんな上手いのって、あの人は上手く舐めなかったら殴りますからね。私は殴られたくてわざと歯を立てたりしますからね。罵倒されて見下されて玩具扱いされてそれがいいのに、このモブは可愛いねとヤらせてを交互に言うしかないロボット。ロボットとヤる趣味は無いし頼むからあと数秒乳首舐めたら帰ってくれ。
「俺が側にいるよ、大丈夫」
「…」
にっこり、笑う。
「じゃあ帰ってね。寝るから私。」
ねえそれ本当!って騒ぐのとか気持ち悪い。勝手にマスかいてろモブロボット。帰って帰ってと繰り返していたらやっと帰ったので私はようやく眠剤を飲めた。ああ私は何処へも行けない。あの人のイニシャルのタトゥーを撫でた。そこに爪を立てて痛みを感じた。呪いだ。これは呪い。私はもう一生あの人以外と出来ないという呪い。それが幸福でたまらなくて、さっきのモブが飲んでいた缶ビールを流しに捨てた。側にいてよ、抱きしめてよ。それはあの人しか求められない私の吐き出せず胃の中で腐っていく言葉の一つ一つで、気がついたら嗚咽していた。馬鹿なメス犬って罵ってよ。優しい言葉なんて嘘でもかけないで。皆私を見下して。不幸な女だと嘲笑って。殴って蹴って唾をかけて。インスタグラムの自撮りのいいねの数が増えるみたいに、通りすがりの人に見下された数がカウントされたらいいのにと思う。バージンじゃないのにバージニア。いや、男を途中でやめさせるなんてバージンみたいじゃないかって、目を瞑りながら考えた。寝タバコで火事は起こしたくないなあ。
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