大正浪漫のストイックな恋。時代背景の取材力がとてつもない!

大正浪漫のささやかな恋愛譚。
兄妹さながらに過ごしていた男女が家の取り決めで許嫁となり、そのむずがゆい心情を可愛らしくも丹念な筆致で書き切っています。
甘えん坊だけど大人の女性として独り立ちしたい女の子の気持ちが可愛かったです。

また、当時の女性の下着事情(ブラジャー)についても執拗な取材に基づいた描写が成されており、あっヘンタ……いや精確性を重んじる作者のこだわりを感じました。

そもそも、大正時代にクリスマスは浸透していたのか? という根本の疑問からして、徹底した下調べによる描写があり、当時の日本人の生活様式や貞操観念なども書き込まれているのが圧巻です。
精緻きわまりない取材力が下地にあるからこそ、安心して読めました。

1話に1万7000字をぶっこんでいるため、人によっては敬遠するかも知れませんが、ブラバしたらもったいないですよ!

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