それは良き隣人であり、背筋を凍らせる影なのです。

もともと作者様は文才が緻密な方なのですが、これはもう言うことなし。方言の文体がこの地方近辺(と言うには少し離れていたけれど)居住していた僕としては、どことなく懐かしさを感じるところもあったのですが、本質はそこではなく。

口語文で書かれた世界の中で、読み解く話し相手そのものが「あなた」だからこそ、唾も飲み込めない。

本来、妖とは良き隣人であり、影なのです。侘び寂びの中で、ヒトなんて街から抜け出たらチッポケだと教えてくれている気がする本作。夜には読まない方がいいか……も?

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