祈り　～この想い届きますように～【短編集】

ここに綴られた七つの物語はすべて、誰かの祈りです。
そしてそれらはいつも、誰かのための祈りでもある――
自分の幸せを願う利己的な欲求ではなく、愛する人の幸せを願う神聖な祈りなのです。

どれもあたたかい気持ちにさせてくれる物語ではありますが、
それだけではない、一抹の悲しみを含んでいるものが多いです。
悲しみを吞み込んで、誰かのために祈れること――それこそ愛のかたちなのではと気付かされる短編集です。

四季を楽しむようにそれぞれの視点で描かれる祈りの物語。

これが現実世界で繰り広げられているリアルエッセイだというのです。


桜色の頬、夏の白球、紅の花束、白き訪れ


これが作者である音無雪さんの現実世界。
彩り溢れる世界に是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

春というイメージでいくと
暖かい
優しい
出会いと別れ。
そして、新境地。真っ直ぐ前に進む。
いつもと変わらない日々。でも、少しウキウキしちゃう。

そんあ言葉を羅列してしまう。

このエッセイは、そういう日常がつまっています。
誰かに優しくしたい。
祈る。
悲しみを飲み込んで笑う。

その感情をバカにする人はいない。
とびきり優しい、日常の物語。

何より、特筆すべきは、これはフィクションじゃないということ。
現実にあったことなんだと、思うと。
また、胸が暖かくなる。

この街で聖女様と慕われる、作者様による春の輪舞曲。
うまくいかない？
誰かに優しくしたいけど、言葉にできない？
俯いたら…続きを読む

じゅうななさい、聖女様が紡ぐ本作は祈りがテーマ。

本レビューをしたためている段階ではまだ２話ですが……。

柔らかな文体でえがかれる祈りは優しく暖かなものです。
心にキュンと、グッと、ホロリときます。

そして忘れてはならないのが、リアルエッセイだということ。
そんな世界が現実に、どこかにあったということです。

その一端、一緒に覗いてみませんか？