時代は巡る。
身勝手出来る上司の世代と、権利に守られた部下の世代に挟まれて。
辛抱の末に心房が痙攣する苦しみに耐えながら。
渋いのは自分の顔だけにしてほしいものだねと苦く笑う。
・
新入社員だった頃、地下鉄の片隅でスーツ姿の男性がフロアに突っ伏していたのを見たことがある。
終電が近かった。
酒は飲んでなさそうだった。ビジネスバッグが少し離れた場所にあった。
道行く人は彼を一目だけ見て自宅へと帰っていく。それは私を含めてだ。
その人がこの作品のような経歴を歩いたのかは知る由もないが、
頭を下げてるうちにしおれていく姿が「社会人あるある」と評されるのは、ユーモアにしたって少ししんどい。
ただ、希望のある終わり方ではあった。苦笑と諦観が伴うものではあったけれども……
現代は転職をたくさんする人や、退職代行サービスがニュースで取り上げられていますが、ふと思うのです。
次の仕事が決まるまでにどれくらいの時間がかかるのだろう?
淡々と、就職の大変さを書かれています。
心が抉られます。
生きる上でお金は必要で、納税の義務というものだってありますが、それでも仕事って大変そうです。
採用されるまではとても苦しみ、実際に働くようになってからも心身疲弊するでしょう。
なんでしょう、この生き地獄は。
だから働きがいや、将来的やりたいことを具体的にイメージしなければならないのですね。
でもこの作品は辛いだけではありません。
キーワードは「砂糖」で、砂糖をもちいた描写が目をひきます。
それでも生きていこうとする主人公が報われますように。