重い罪の意識は、僕を壊し続ける。全てを抱えて眠りたかった。でも……。

重い罪の意識を背負った「オズマ」
彼を眠りから呼び起こし、荒廃してしまった世界をつれいく「カミオカ」

なぜ、オズマは罪の意識を持つようになったのか。
なぜ、世界は荒廃してしまったのか。
なぜ、カミオカはオズマを眠りから起こさせたのか。


一つ一つの謎が解けるにつれ、世界の残酷さと人の心の複雑さに胸を打たれました。

特筆すべきなのは、その登場人物の魅力さ。しっかりと過去を持ち、それゆえの現在の行動がある。そう思える人物としての深さを、オズマサイドの登場人物だけでなく、敵対する登場人物たちにも感じたこと。

人物たちが自分で考えて。現在と、自分が望む未来のために大地を踏みしめて歩くかのごとく日々を生きている姿は、荒涼として生き物の住めなくなった外の世界とは対照的で、命そのものしたたかさと躍動感を強く感じます。

荒廃した世界だけれど、人と人ではないもののもつ心の温かさ、そして希望のようなものを感じる物語です。

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