モノノ怪。七ツ闇クリニック。
並ぶ響きは、血脇肉踊る妖怪奇談の展開を思わせますが、ほのぼのクリニック話です。
いつも懐が涼しい山吹先生が居る、学校帰りの子供達のたまり場。
不思議な少女クロコ。
話を飾る妖怪達は一つ二つと困り事を抱え、山吹先生やクロによって、まるでリレーと小咄のオチのように解決して行きます。
その繋がりは、人と妖怪達を渡す山吹先生の優しさを体現するかのようです。
また、話のたびに変わるクロコの装いにも注目です。
季節を感じ、妖怪達の息遣いを感じる物語は、心温まる感動のラストへ向かい、読む側を包んでくれます。
素敵な物語を、ありがとうございました。
小判猫と出会えて、とても幸せでした。
同じ作者様の傑作、
『若君は吸血鬼』『ボーイズダイアリー』を経て
ここに辿り着きました。
全体の感想からまず書きますと、
とても人物配置やシナリオが面白く、
また一貫して各話同じレイアウトで構成されているので
実写映像化すればウケるなと思いました。
次にキャラクターですが、
こちらはもう『さすがですね』の一言に尽きます。
若君やBDでも思いましたが本当にこの作者様は
キャラクターの扱いが上手いです。
山吹先生やクロコ、その他多くのサブキャラ達が
時に主役となり、時に添え物となって魅力的に
動きます。
と、ここまで書いてレビューなのに
内容を1ミリも伝えてなかった事に気が付きました。
ではおもむろに。
『もちろん、面白いですよ!!』
幸福は誰にとっても傍に置いておきたいものです。
それが人であっても、物であっても。
あれば幸せ!と思えるだけで、人生何とかなるものではないでしょうか。
そんな方にはこちら、『モノノ怪クリニック』はまさにうってつけの作品とお薦め致します。
お気楽だけど心の優しい山吹先生。
そんな先生を慕い、暗躍するクロコ。
両者の掛け合いと助け合いを軸に展開されていく本作品は、一話ごとに、抱くべき優しさと思いやりに充たされることでしょう。
果たしてクロコさんの想いは先生に届くのでしょうか?!
少し世の中がくすんで見えてしまっている貴方。
ぜひとも『七ツ闇クリニック』へ来院なさってみてはいかがでしょうか。
拙いレビュー失礼致しました。
温かい日差しに照らされた神社で、ふと吹いた風の音が人の声に聞こえたことはありませんか?
暗い病院や学校の廊下に、無機質な科学では語れない、何か不思議なものが存在するような気がしたことはありませんか?
この物語は、関東地方のとある県、とある町の唯一の診療所を経営する「山吹先生」と、その傍で彼を支える「クロコ」という少女、そして診療所に訪れる様々な物の怪の物語です。
筆者が特筆したいのは、この物語があくまで表層的、悪く言えば振り回されるように物語を進める山吹先生のパートの後には必ず、クロコのいわばお片付けのパートがある点です。
クロコは山吹先生の生活を守る為にも、時にはビシっと物の怪達に治療の請求に迫ります。しかしその場面すら健気にも、コミカルにも感じ、決して不快には感じません。
それはきっと、仕方ないなぁ、という感じに多くのことを許してしまえる優しさが、クロコから垣間見えるからだと筆者は思います。
昼の山吹色も、夜の黒色も、この物語ではいつだって温かいです。
着飾ることのない、ささやかな優しさに触れたい方は、ぜひご一読されてみては如何でしょうか。
1話1話がほのぼのとした雰囲気を醸し出していて、どこまでも優しさに満ちた小説です。
読んでいると、こっちまで穏やかな気持ちになれます。
言葉だけで、ここまでほのぼのとした雰囲気を感じさせる作者様は、ホントに凄いです。
そして登場するキャラクターたち。
山吹先生とクロコちゃん、そして登場するモノノ怪たちの魅力については、もうすでに多くの方が語られていますので、僕は子供たちについて少しだけ。
この小説では、毎回近所の子供たちがクリニックに遊びに来ます。
四人の個性的な子供たちなんですが、この子たちが結構お話のきっかけとなっていて、さらに山吹先生やクロコちゃんの、内にある性格や心情を照らし出しています。
彼らの関係性も、少しずつ明かされていくので、そこも気になるところです。
個人的にですが、一体マサヒコくんは、ランドセルになんの恨みがあるんだろう、とかも考えてしまいます。
アキナちゃんとトシオくん、チエミちゃんも、可愛くて魅力的な子たちです。
彼らがいてこそのクリニックだと思います。
最後にお話の方ですが、医者である山吹先生と、その助手であるクロコちゃんが、モノノ怪たちと出会い、その縁を紡いでいく物語となっています。
ただ困っているモノノ怪たちを助けて……という小説ではありません。
読んでみれば、その意味がわかると思います。
なのでまだ読まれていない方は、ぜひ読んでみてください。
ホントに面白いですし、各話すぐに読み終えてしまう筈です。
優しくて欲のない貧乏な医者の先生(人間もモノノ怪も両方治療できます)と、助手的な存在のモノノ怪の女の子の両方の視点から綴られる、妖怪的なトラブルと解決のお話です。一話一話綺麗に物語がまとまっていて、とても読みやすいです。先生の人柄が素晴らしく(優しくていい人だけどちょっと抜けている性格)、助手のクロコは可愛いながらもしっかりしていて(お金のこともしっかり考えて生活力の低い先生をサポート)、とてもいいコンビです。登場する妖怪たちも個性的で面白く、子どもたちのキャラも立っていて、先生との交流にくすりとします。一話一話読むごとに優しい気持ちになれます。ぜひ多くの人に読んでほしい心温まる作品です。
こどもの頃「つづく」の画面で、また来週だぁ。
だいすきな番組のつづきを早く見たい!と待っていた。
魅力的な主人公がいて、その周りにだいすきなキャラがいて。
そんな頃を彷彿とさせるこの作品。
*お正月の「賽の目」まで読了。
はまってしまって、虜になってしまうパターンだ!
決して聖人君子じゃないけど やさしい山吹先生。
世話焼きでキュートな きつねのクロコちゃん。
お茶しに来る 近所の4人の小学生たち。
そして、愉快なモノノ怪たち。
モノノ怪だから、夏目友人帳のことを連想する人も多いね。
うん、私が大ファンでついついグッズを買ってしまう
だいすきなニャンコ先生のように
ここの子たちも、ぜひキャラグッズになってほしいなぁ。
(特に赤い腹かけにフェルト小判のアップリケの猫ニャン。)
「カクヨムクリニック」も おすすめです。
クリニックの制作秘話みたいで、めっちゃ楽しい。
これからも「つづき」を 待っています!
最新話(第6夜)まで拝読しました。
いやーこりゃいいもん読ませてもらいました(笑)。
ざっくりカテゴライズすると、現代ファンタジーの中でも「日常系あやかし物」に分類される作品でしょうか。
文体は、Web小説としては改行が少なく、1ページ毎の文字数も多めですが、いざ読んでみれば不思議なほどスイスイと内容が頭に入って来ると思います。
また、全体の構成が連作短編に近い形式を取っているのも特徴的ですね。
それで、この作品の見所なのですが――
一言で表現すると、「空気感」ということになるでしょうか。
凄く抽象的な言い方になってしまうのがもどかしいのですが。
個々の魅力を取り上げると、登場キャラクターの性格付け、会話の雰囲気、穏やかな世界観、一話読み終える毎に何となく「ああ、いい話だったな」と素直に思える素朴な温かみ、などなど……
そういった要素が非常に高い水準で安定していて、総合力で勝負しているタイプの作品なのです。
読むと楽しく、ほんわかとして、なのにときどきちょっぴり胸に迫ってくる。
そういう優しいお話が好きな方は、是非ご一読を!
各話読み終えるたびにほっこりと素敵な読後感の残る、一風変わった妖怪モノです。
普段はおやつ目当ての子供たちくらいしか寄りつかない町の診療所には、ちょっと腹黒いけどとことん人の好い山吹先生が暮らしています。
毎月の支払いにも困るような懐事情のクリニックですが、先生を慕うクロコちゃんという謎の少女が、影に日向に先生を支えてクリニックの経済的危機を救います。
この可愛らしいクロコちゃん、実は裏の顔を持っていて…。
と、これだけ書くとどこにもモノノ怪が出てこないようなお話に見えますが、しっかり毎回お話に絡んでくるのが愛嬌たっぷりの作者様オリジナル妖怪たちなのです。
このモノノ怪たちのキャラクターがとにかくユーモアたっぷりで、個性豊か!おどろおどろしさはなく、人間味溢れているのです。
モノノ怪たちが起こすいろいろな事件を山吹先生やクロコがどう解決するのか、一話完結で楽しめます。
どなたが読んでもほっこり楽しいお話に引き込まれること請け合い。
閑古鳥の泣く七ツ闇クリニックをあなたも覗いてみませんか?