酒の美味さは、痛みと向き合い呑み込めばこそ理解できる。

初めてのお酒は、どうしてもここで。
それはむしろ、子どもっぽい感傷なのかもしれない。
だけど実際に大人になってみれば、感傷を貫く難しさに出逢うこともある。

若者が大人になるためにもがくその姿に、もっと上手くやれればいいのにというもどかしさが、初めて飲んだ電気ブランの強い刺激と重なります。


飲み干してしまいたい。
吐き出してしまいたい。


そんなジレンマを抱えながら、勇気を出してグラスを傾け、酒という「毒」を受け入れる。

そんな瞬間の物語が、透き通った琥珀色を感じる文章で語られる。

感情を揺すられる作品でした。

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