文章ではなくて、絵画のような…ひとというものの哀しみ。

この作品を最後まで読んではじめて立ち上がる、絵画のような情景。
何かを説得するでもなく、幸福感を追い求めるでもなく…ただ淡々と、主人公の目の前に起こる出来事が並ぶ。
そして…最後に立ち上がる絵は、強烈に印象的な映画のラストシーンさながらに、きらめく白い煙の中にうごめく人間の姿。
白という、何も語らない色をした煙の中で、わけもわからずにうごめく。
人間とは——人生とは、きっとそういうもの。

これはあくまで、この物語を読み私が感じたことです。
でも——この物語はきっと、読む人それぞれの色を帯びるに違いありません。
ぜひ、この不思議でたまらなく魅力的な空気を味わってください。

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