猫と苺

作者 伊藤愛夏

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12人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

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緩やかに流れる紫煙。
柔らかく、淡い光彩。
螺鈿細工のような闇。
見つめ返す美しい瞳。

殺し屋の二人に、残酷さや冷徹さは感じません。
物語には不思議な明るさがあります。
そこからゆっくりと下降する螺旋状のきらめきがあって、その中にわずかに不安や寂しさが隠れているような気がしました。

全てを切り離して。
感覚を研ぎ澄まして。
作品から伝わってくる何かを、ぜひ見つけてください。

★★★ Excellent!!!

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殺人業を生業とする組織の一員である、主人公の女性。同僚の男性が組織を裏切ったことから幕があきます。

登場する役者(キャラクターというよりも、しっくりきます)たちは誰もが何かを抱えて生きているということを、見事に演じきっており、これは書き手の手腕が見事であるからに他なりません。

舞台が華やかな街であるゆえに、彼ら彼女の暗部がより鮮明に浮かび上がっております。

でもそれは、決してこの物語が暗いというわけではありません。短編の映画を鑑賞するように、じっくりと味わってほしい掌編です。

★★★ Excellent!!!

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この作品を最後まで読んではじめて立ち上がる、絵画のような情景。
何かを説得するでもなく、幸福感を追い求めるでもなく…ただ淡々と、主人公の目の前に起こる出来事が並ぶ。
そして…最後に立ち上がる絵は、ラストの場面に描かれたような、きらめく白い煙の中にうごめく人間の姿。
白という、何も語らない色をした煙の中で、わけもわからずにうごめく。
人間とは——人生とは、きっとそういうもの。

これはあくまで、この物語を読み私が感じたことです。
でも——この物語はきっと、読む人それぞれの色を帯びるに違いありません。
ぜひ、この不思議でたまらなく魅力的な空気を味わってください。

★★★ Excellent!!!

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ゆらゆらとした陽炎の向こうに物語が見えているようで、見えそうで見えない感覚が「殺し屋」のいるような世界にぴったりだった。
実体のない人たちが、本当の心もどこかに置き去りにして生きている。いや、生きているのかどうかもわからない。その虚無感。
タイトルもすごい。ジャストフィットだなと思った。

……が今の私の感想ですが、もう一度拝見したら180度変わるかもしれません。そんな作品でした。

★★★ Excellent!!!

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人間関係の複雑さが上手く描かれている本作。
「猫」「イチゴ」「おかま」「ゲイ」など名前のようで名前でないあたかも記号のように小説内では登場人物が表現されている。
これは、登場人物達の距離感を表しているのではないだろうかと思った。
本名を出したら色々と詮索をされるとか主人公は考えたのではないだろうか?

横浜はきらびやかな印象で観光地になっている半面、一部では外人が多い街もあり治安があまりよろしくない場所もあると以前、横浜に住んだ事がある人に聞いた。
この小説は横浜の暗部にスポットを当てた小説でもある。

★★★ Excellent!!!

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あらけずり、でもない。
漠然として捉えどころがない、とも違う。
超主観的に綴られる文字はともすると
前後の意味が錯綜するが、
そんなものは、この作品にとって問題ではない。

細かな文脈を超えて寂寥感が伝わる。
これは私の勘違いか、作者の技量なのか。
わからない。

しかし、一つわかっていることは、
5話のあたりから背中から頭にかけて、しびれが走ったこと。
文章をまとめて捉えることで感情が動かされるのだ。

短い作品です。
一度、自分がどう感じるか読んでみて下さい。