聖なる夜に疾走する影、その向かう先は―。

この物語には最初、ブログの連載小説として出会いました。しかも競馬のつながりで訪れたブログで。そこで目についたのが聖夜のスプリンターというタイトル。普通に考えたら結びつかない二つの言葉。聖夜とスプリンター・・・
それが妙に気になって興味半分に読み始めました。最初は陸上を題材にした青春恋愛ストーリーかと思いましたが、タイトルに結びついてこない。読んでいるうちに物語は急展開を迎える。ここからが作者RAYさんの真骨頂。SFチックに物語は予想もしない方向に広がっていきます。DMC(次元移動コンパス)やJT(サンタ試験)など驚くような発想で読む人をRAYワールドに誘います。特徴的で個性豊かに描かれる登場人物が話を更に盛り上げていきます。そしてスプリンターが一気に加速するようにクライマックスを迎えます。その頃には聖夜とスプリンターというタイトルに納得していて、二つの異なるイメージがシンクロしています。突拍子のない話のようで最後にどこかホッとする・・・読んだ後の読み味っていうのでしょうか、それがとても爽やかなんですよねぇ。私はこの作品でRAYさんを知りましたが、次々に新しい作品を発表されていきます。どれも味のある秀作ばかりですが、私にとってこの作品は原点であり、今も忘れられない読み味を心に残す作品です。

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