繊細なミステリー

四章にわかれたこの長い物語は、ミステリーでもあり現代小説でもあり、そして恋愛小説でもあった。

椿の勘のよさに、何者だ! と斜に見ていたのも束の間。
解き明かされる謎を越えていく中で、人と人とのつながりがとても繊細に描かれていく。事件だけに焦点を向けるのではなく、その中に組み込まれている当然の感情を、忘れてしまいがちなその感情をも解いていく。
数字だけでは解き明かされることのない、人の気持ちを――――。