人の絆が見せてくれる景色

かたや、凛と国を背負って立つ英雄。
かたや、フードで顔を隠しておろおろ歩く作家。
ずっと前に関係を断っていた双子の姉妹は、「人間と魔族の最終決戦」という情勢から再び相まみえることになる。
そんなところから始まる物語です。

主人公で双子の妹のトウカは、過去の出来事から自信を失い、不安げにしています。
姉のオウカは王国最強と謳われ、その名誉に恥じないように気高く振る舞っています。
姉妹の再会は決して明るいものではなく、オウカはトウカに憎しみをぶつけ、トウカは怯えて惑います。
二人がなぜすれ違ってしまったのか、そして今もすれ違い続けているのかの描写が巧妙です。
魔族との戦いの行方というマクロな舞台と、姉妹のすれ違いというミクロな舞台が絡み合い、ストーリーがどんどん先に進んでいきます。
その展開は軽快で、一切飽きさせません。
一つのピンチを乗り越えたら、また次のピンチがやってくる。
ハラハラの連続です。

トウカは序盤ではどちらかというとオドオドした場面が目立ちますが、少しずつ勇気を発揮していきます。
そして、とあるもののために強くあろうという気持ちが湧いたとき、誰にも負けない芯の強さを見せてくれます。
その時に得られるカタルシスはたまりません。
ネタバレになるので詳しくは言えないけれど……トウカが本来の輝きを取り戻すシーンをぜひその胸に刻み込んでほしい!

主要登場人物の多くが女性でありながら、アツくなれる作品です。
熱い物語は男性キャラをイメージしがちかもしれませんが、女性キャラにだって紡ぐことができる。
当たり前のことではありますが、そんなことを教えてくれる作品です。

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