異種間恋愛なんて言葉で片付けてはいけない、純愛文学の傑作

生物として違うということ。
それは、決して文化や暮らしが違うというだけに留まらず、そもそもの「存在」が異なるということに他なりません。

「存在」の違いという悲劇、それでも、もう少しだけ、時間が尽きるまでは、という一途で純粋な想いを、時計の針というモチーフで儚くも美しく描き出したその筆致は、間違いなく文学作品として恐ろしく優れた傑作です。


リザードマンというファンタジーな存在を主題にしていますが、その生態の描写や上記のような存在そのものを見る視点はSF的であるとも言えます。

のみならず、周辺を固めるキャラクターも魅力的。


美しい文章で語られる、美しい愛の物語に、心洗われるというのはこういうことでしょうか。

その他のおすすめレビュー

輝井永澄さんの他のおすすめレビュー166