あり得るかもしれない未来の一つの形

おばあちゃんの嫌な感じの造形(物理的な)がとてもいいです。それは新奇なものではないかもしれませんが、そういうイメージを切り取ってきて再構成した、センスと文章的な表現力が素晴らしいと思いました。
おばあちゃんの内蔵を仏壇に納めているところから話を始める構成もいいですね。機械の体になっても残る肉体への未練、またそれが反転しての生きているものへの憎悪。ストーリーが流れるように進みます。
随所に現れる魅力的な科学用語も効いていました。いくぶん煙に巻かれているような気もしますが、それ以上に想像力を刺激されます。その意味で、この作品は旧くて良い香りのするSFだと思いました。
作中の「XXX症候群」は作者のオリジナルでしょうか。初めて聞きました。とても秀逸なネーミングであり、それを老人問題と絡めて語るという手法も見事だと思いました。
ブラックな風刺劇。でもそれはあり得るかもしれない未来の一つ何ですよね。

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