約束は永遠に

 10年前の帰り際にコック長と約束したんだ。

「乙木をよろしく」と。


 僕はなんでそんな約束をこの人がするのかはわからなかった。

 でも、大人になってから考えてみれば簡単なことだったのだ。


 最後の約束は果たすことはできなかったのかもしれない。

 だがコック長―いやお母さんはチャンスをくれた。


 3つの約束。


 その全てを守ることはできなかった。


 ただそれは今の話だ。


 過去の約束。


 また新たな約束が出来てしまった。


 この約束は終わりのない約束。


 それを守る義務が僕にはある。


 いやそれ以前に守りたい。


 約束も、彼女もずっと守っていくと決めたんだ。


 幽月邸は約束の館。


 幽月邸での約束は必ず果たされるという。


 司書がやめていなければこんな噂が出来ていただろうか?


 それは誰にも分からない。

                      

                       幽月邸と3つの約束完

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