これが最新鋭。ミステリフリークが描く本格フリークス・ミステリ。

 本来ミステリは、一人または複数の犯人が存在していて、物語の最期に誰がどんな方法で犯行を犯したか。それを明確にして終わらせるのが主眼です。
 ところが、本作は警察各位が犯人特定、もしくは証明終わりQ,E,Dとしているところに探偵役があえて異を唱え、別の視点から見直させる。という狭義のミステリに対するアンチテーゼ的な作品になっています。

 一人称、語り部が双子の兄を偏執的に溺愛している女子高生。
 探偵役が交通事故のため片足を失くし、義足と杖なしでは歩けないため、自然と安楽椅子探偵。
 
 そのラブコメのようなやり取りも含めて、旧来のミステリファンだけでなく、あまり活字慣れしていない方も読みやすいです。

 内容も、行く先々で事件に出くわす『子供、少年は探偵あるある』に限らず、事件発生、容疑者の列挙、事件当時の状況説明を周知させ、それから解決編。
 そこからの――――というのが非常に巧みです。

 ただ解決、ではなくそこから敷衍させるようでいて、さらに謎を提示するアンチミステリ。
 謎解き好きな方、そうでない方、肉親を溺愛している方もどうぞ。
 (最後のは……あまりカミングアウトしないよな……(-_-).。o○0〇
 
 

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